翌日


僕は早起きして、博霊神社を簡単に掃除した。


居候の身であるのならば、これぐらいはやりたかった。


チルノは変な格好で、まだ布団の中で寝ていたけど。





「あら・・・おはよう・・・掃除してくれてるんだ・・・あはは・・・」


喜んでくれるかと思ったが、意外な反応だ。


「ん、どしたの?」


「・・・・・手伝ってくれるのはありがたいけど、もともと暇なのに、もっと暇になっちゃうじゃない・・・」


その角度の目線は予想していなかった。


「あ、やらないほうがいい?」


「ま、まぁ・・・ほどほどに・・・」


これは困った。何か力になれることが他にないか、見つけなくてはいけないな・・・。



あ、そうだ。お賽銭だ・・・。僕のバックが見つかれば、お賽銭にお金を入れることができるはず・・・。


青空の方向を眺めて、考え事をしていると、銀色の頭が見えて、少しずつ、あのメイド様だとわかる。


「・・・・・・・・・霊夢呼んでくるか」


僕は軽く無視を決め込んで、去ろうとしたのだが、呼び止められてしまった。


「私は、お前に用事があるんだ。レミリアお嬢様が、お前を呼んでいるから、館へ来て」


「レ・・レミ?誰だ・・それ?」


「あの館主であり、私の主人様だ」


もしかして、吸血鬼姉妹か?勘弁してほしいぞ・・・。


「ちょっと、霊夢に言ってくる」


僕が神社へと消える間際


「館で待っているからな」


そう、念を押されるように言われた。



台所へ移動すると、霊夢が朝食の準備をしていた。


「霊夢ー。あのでかい館のメイド様が来たんだけど」


「あぁー咲夜ね。ここに来るなんて、早々ないはずなんだけど・・?用件はなんだって?」


そうそう、咲夜だ。昨日の中国女が名前をそう呼んでいたはず。


「霊夢じゃなくて、僕に用事があるから、館まで来いって言われたんだけど・・?」


そう言うと、霊夢は一つ考え込み、すぐにこちらを向いた。


「そぉ・・・。面識もないのに行ったら、殺されかけるけど、行かないという選択肢も、殺されるわね・・・・。それに、咲夜がここに来るってことは、レミリアの使いのはず。 主、レミリアとなんかあった?」


さすが、霊夢の洞察力だ。


今、現時点では「何もない」としかいえない・・・。幼い頃、レミリアという人物と、会っているのなら・・・?


「わからない・・。今はなんとも言えないんだ」


「・・・・わかった。私も行くわ」


思いがけない提案をしてくれた。


「本当か・・・!?」


「私は顔が広いし、紅魔館も時々出向いてるから、大丈夫よ」


こうまかん・・・? あの館の名前か? 不気味な名前だ。


「朝食食べたら行くわよ。後、チルノ起こしてきて」


「うん、マジでありがとう!霊夢」


霊夢には、これから色々とお世話になりそうだ。そのためにも、僕にできることがないか探そう。


現実の世界で、できなかったことを、この世界でやろう。


これが、現実の世界での、酬いだ・・・!

end


「チルノー・・・?あれ、チルノ?」


「起きてる起きてる」


布団の中から、昨日より小さくなったチルノが出てきた。 僕の膝ぐらいしかない師匠。


「・・・師匠?どうしたの?」


「・・・・湖を離れて何時間かすると、体が小さくなっちゃうの。力は減らないから、安心だけど・・・なんか嫌」


これは意外な師匠の弱点かもしれない。脳内にメモっておこう


コメント


十六話に十六夜が登場した。 ま、いざよいって読むけどね