昼も中盤に差し掛かり、濡れていた服も、すっきり乾いている。
その間も、僕達三人はグダグダとダベっていたのだ。
「霊夢いるー?」
表の方から、チルノの声が聞こえてすぐに、僕達のいる方へ顔を出した。
「あ、いた」
慣れているのか、すぐにこちらへ向かってきた。
霊夢の隣に座って、同じように幻想郷を眺めた。
「で、チルノ・・・何の用?」
霊夢がチルノに問う。
二人も同じことを思っていただろう。
「いや・・あたいの子分が、ちゃんと博霊神社についたか確認しに来たのよ。無事でなにより」
少し、顔をほころばせ、頷く。
「主ってチルノの子分なんだ。面白い関係ね」
「まぁな。チルノは頼りになるし」
二人は驚いた顔をしていたが、僕はちゃんと、チルノに助けてもらった。この恩は忘れない。
チルノは「えへへっ」と喜んだが、すぐに表情を変えた。
「じゃなくて、えーと、主に伝えなきゃいけないことがあったんだ」
「うん?」
「主を食わないようにってルーミアに言っといたはずなんだけど、なんか心配。あの子、ちょっと抜けてるところあるから」
朝の、黄色の髪をした女の子の事か。朝から恐怖を、よだれとともに心にねじ込まれた気がした。
幻想郷を甘く見てはいけないんだと知った。
「もしかしたら、夜、主を襲いに来るかもしれない。ここは信仰が弱いって言ってたから、ルーミアでも入れるはず」
「・・・・それ、ある意味侮辱よね」
霊夢がジト目をきかせていて、僕は思わず笑ってしまった。
「いやいや、そんなことよりも、本当に主が危険な・の・よ!」
・・・・・こんな中途半端なところで死にたくないな・・。何か対処法を考えなきゃ。
「そこで、今日はあたいも泊まることにするわ。子分の身が危険なら、師匠である私が助けるのは当然でしょ!」
両腕をわき腹に、尊大に立ち上がった。
「ちょっと待ってよ!ここは私の神社よ・・!?勝手に決めないでよ」
「霊夢には負担をかけないようにするから、頼む・・・!この通りだ!」
僕はまた土下座をした。
これは、死を回避するためにも・・必要なんだ・・!
「うっ・・・・!わ、わかったわよ・・・・・。チルノと主、二人でやってちょうだいね。危険になったら私も戦うけど」
「霊夢・・・ありがとう」「霊夢、ありがとうね」
僕の周りは、こんなにも優しい人達で囲まれているんだ・・・・。
「じゃ、私は、主が寝ている横で待機してるから、主は寝たフリをしててね。作戦は夜決行!」
「おう!」
end
「なー、私、忘れられてないか?」
「魔理沙には、あんまり関係ないね」
「うぅ・・・私、帰るね」