館を通り過ぎて、民家が並び立つ、里のようなところにきた。
ルーミアが言っていた里というのは、もしかしたら、ここかもしれない
「ん・・・・・とりあえず、神社へ行くか」
人間の里を通り過ぎ、やっとこさ、神社へと続く階段まで来た。
長く続く階段は、やる気をゼロにさせる。
高く見上げると、日差しが目に突き刺さる。
「あら、博霊神社に用事?」
後ろから、女性の声が聞こえた。
幻想郷には、男がいないのか?さっきから女ばっかだ。
振り向くと、神社とイメージがよく合う、巫女がいた。
「用事というか・・まぁ・・色々と・・」
「?、わかったわ、上で話し聞くわね」
「あぁ、頼む」
よく簡単に「上で聞くわね」なんて言えるものだ。この長い階段を・・・・。
あ、もう上った。
高く見上げると、巫女さんはもう消えていた。
「・・・・飛ぶなんて卑怯だと思わないか・・・」
この場合、上ったではないだろう。
「僕は足だぞ・・・」
―数分後―
グダグダと階段を上って、やっとのことで神社へと着いた。
「はぁ・・・疲れた・・・」
この差はなんだ・・・。
「こっちで話し聞きますから」
手招きしている巫女さんの後をついていくと
幻想郷が一瞥できる、縁側へと案内された。
僕が今までいた あの湖やでかい館でさえ、ここにいると、踏みつけられるのではないかと思ってしまう。
「はい、お茶」
「あぁ、ありがとう」
巫女さんは隣に座って、同じように幻想郷を眺めた。
「人間の男性なんて、結構、この幻想郷では珍しいのよ」
「だろうね・・・。さっきから女しか会わない」
お茶をすすって、本題を切り出す。
「えと、この神社に来たのは、ちょっと頼みごとがあって・・・」
「うん、何?」
こういうこと言うのは、かなり恥ずかしいというか、緊張するというか。
「この神社に・・・・・泊めてもらえないだろうか?」
お茶をすする音が止まり、僕はつばを一つ飲み込む。
緊張の一瞬が、冬の冷たい空気をさらに凍らせていた。
「あの・・・理由は?」
慎重に、聞き返した
「えと・・話せば長くなるんだけどさ」
end