頭に流れ込む、もう一つの自分。
幼い頃の記憶・・・。
僕には、幼い頃の記憶がほとんどない。
理由は、よくわかっていなかった。
-回想-
――――――――――幼い自分がいる。
久しぶりに見るように思える。母さんの顔。
自分は、無邪気に遊び、先程、同様に、空間の切れ目、穴を見つける。
また同じように、幼い自分は手を入れて、そのまま、落ちてしまった。
――――危ない!
助けようと思っても、幼い自分は手からすり抜けて、空間へ落ちてしまった。
そして、途切れた。
何なんだ・・・・この穴は・・?
「幼い頃の自分のように・・・すればいいのか・・?」
独り呟いて、独り、流れこんできた記憶の意味を探す。
そうだ、自分はもう、死んで同然の存在、この穴に落ちて、消えることができるのなら、望み通りじゃないか。
少しずつ、自分の体は飲み込まれて行った。
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