隣の県の花火大会に嫁さんとまだ幼かった長男を連れて出掛けた。
帰りは案の定の大渋滞。
30分ぐらいで着くのが何時間もかかりそうな感じだったので途中から山道を抜けて帰る事にした。
何度も通った事のあるほぼ一本道で一時間もあれば着く距離である。
しかしおかしい…いけどもいけども着かない…既に1時間以上経っている。
息子は後ろの座席でぐっすり眠っている。嫁さんもだんだん不安がり「大丈夫?最近は山賊とか出るそうよ」などと余計に俺の不安を煽るような事を言う。
実際にその頃、飯塚の方の山の峠道で若者達が夜間に通る車を襲う事件があった。
車には武器になる道具もない…自分一人なら何とかなるかもしれないが嫁さんと幼い息子がいる。しかも離合出来ない真っ暗な一本道…。
山賊じゃなくても、レザーフェイスやジェイソンなんかが出てきたら洒落にならんなとさすがに俺も不安でいっぱいになってきた。
しばらくすると二車線になり下り道になった。完全に道を誤っているが今さら引き返せない。
もうすぐしたら山を抜けて街に着くだろうと、嫁さんを励まして下りはじめたら車に異変が⁈
なんとブレーキが効かない!
ギヤをローに入れカーブの曲がり角はサイドブレーキを引き下っていった。
更に時間ばかりかかる…嫁さんは泣き出す…
3時間ほど経っただろうか、家の灯りが見えた!
なんと自分の住んでる街を遥か越えて某村に出てきたのだ。
気付けばブレーキは直っていた。そこからは一直線に我が家に向かって走った。
家に着き俺も嫁さんも異様に体が重い…
嫁さんに塩をもってこいと言うと、味塩しかないよと言う…
「なんでもええ!まきゃええんじゃ!」とお互いの体に味塩をふりまくった。
すると安堵したのか憑き物が取れたのかわからないが体がすぅ~っと軽くなった。
嫁さんは「二度とあんたとは花火大会に行かん!」とブチ切れるし惨憺な夜だった。
次の日嫁さんの母にその話をしたら「そりゃあんたたち、化かされたったい」と言われた。
今だに何故道を誤ったのか、何故下り道にさしかかって急にブレーキが効かなくなったのか不思議なんですよね。
それ以来その山道は通っていません。