参議院選挙では、参政党や日本保守党への集団ヤジや中傷プラカードが目立った。

プラカードを掲げている人たちはプロテストと称しているが、ではどうして演説している人だけでなく、演説を聞いている人の側にメッセージを書くのだろうか?

 

これはそれを写真に撮ってSNSに上げている人のためのものなのだろう。

 

 

 

候補者の横で映り込むために巨大なプラカードを作る人もいた。

 

 

SNSが浸透し、いわゆるインスタ映えを狙った行動なのだろう。

 

 

でも、こういうの国会でも見たなあ。

 

 

2023年5月18日にれいわ新選組共同代表の櫛渕(くしぶち)万里衆議院議員が衆院本会議で、「与党も野党も茶番!」と書かれたプラカードを壇上で掲げたことがあった。

このときは、自民、公明、日本維新、立憲民主、国民民主の与野党が「議院の品位を傷つけた」などとして提出した懲罰動議が本会議で可決された。

 

国会という議院には品位が大事らしい。

 

 

 

その翌月の6月8日にはれいわ新選組の共同代表である山本太郎氏が参院法務委員会での改正入管難民法の採決時に委員長席に飛び掛かっていた。

与党側の議員にブロックされていたが、この時、自民党議員2人がケガをしたと訴え、翌日に自民、公明、立憲、維新、国民が懲罰動議を提出した。

 

山本太郎に品位は通用しない。

 

 

さらに2024年10月1日の衆院本会議で行われた首相指名選挙の際、「裏金隠しの解散やめろ」「能登の補正予算を」と書いた紙を壇上の投票箱の横でれいわ新選組の大石晃子共同代表が掲げて退場させられた。

 

この後、大石晃子氏自身が政治資金収支報告書で記載漏れがあったとして「裏金議員」だと言われた。

 

自身の記載ミスについては「政治団体『大石あきこと歩む会』が2023年5月30日に提出した2022年度(令和4年分)の収支報告書について、約450万円の記載漏れがあり、2023年8月8日に訂正しました」としている。続けて「当時、収支報告書を作成した際に、ダブルチェックをする体制が取れず、記載漏れになってしまいました。大きな額でしたので申し訳ないです。国会閉会後に落ち着いて寄附金等会計情報の突合チェックをしたとき、収支報告書への記載漏れを見つけ、直ちに訂正しました」と経緯を説明。

 

 

れいわ新選組に品位は不要なのだろう。

 

選挙妨害での品位不要の源流は、れいわ新選組にあるのかもしれない。

 

 

国会でのプラカードはテレビ中継を意識したもので、「インスタ映え」ならぬ「テレビ映え」を狙ったもので、もっと前からあった。

 

印象に残っているのは、2015年の安保法案のときだ。

 

 

 

安全保障関連法案は2015年7月16日午後の衆院本会議で、自民・公明両党などの賛成多数で可決され、衆院を通過した。

数の上では為す術がない野党議員は、あらゆる方法で抵抗を試みた。

特に民主党議員は、プラカードを持って反対をアピール。発言内容はほとんど怒号でかき消されてしまったが、NHKのマイクは辻元清美衆院議員の「ダメです!」という叫び声を明瞭に拾っていた。

このとき、日本共産党と日本維新の会は棄権するために退場していて国会にはいなかった。

 

法案に賛成するメディアは、こういった行動は「テレビ映像を意識」したもので、強行採決を「演出」するためのものだと批判していた。

「アベ政治を許さない」ってプラカードはちょっと問題だと思う。

 

よい子はまねをしないように。

 

 

国会でのプラカードの源流はもっと辿れる。

 


1992年のPKO協力法案だ。

自衛隊の海外派遣を可能にしたPKO協力法案の審議は、1992年6月4日にヤマ場を迎えていた。

参院特別委の採決を目指す自民・公明・民社(当時)3党に対し、社会(当時)・共産両党は反対の姿勢を崩さなかった。

4日午後から始まった審議は再三中断し、採決は日付をまたぎいだ。

5日午前3時22分、自民議員が質疑を打ち切る動議を読み上げると、「審議を約束したではないか」「話が違うぞ」などと抗議する社会・共産両党の委員や同僚議員。「質問権を奪うのか」などと委員会室に怒号が飛び交うなか、約20分後に委員長が「動議賛成の諸君の起立を求めます」と言い、自公民3党の委員が起立し、特別委での法案が可決された。

そのときに「抗議」「強行採決」などのプラカードを掲げる議員がいた。
 

今から見ると、内容もちょっとおとなしめではあるが。

 

今、問題になっている品位を捨てたプラカードの源流は国会でのれいわ新選組が影響していると思う。

 

インスタ映え、テレビ映えの源流は2015年の安保法案のときの立憲民主党などのプラカードであり、もっとたぐれば1992年のPKO協力法案のゴタゴタである。

 

力で勝てない相手に対して、品位を捨てた言語の暴力で挑む。

 

そういうプロテストの原型だろう。