昨日は、息子、夫、私が先生との面談をしました。

その前から、夫が「家に帰りたい」と言い出したこと。

「1ヶ月経ったのに良くならない 」と言ったことに対しての先生の説明だとは
何と無くわかりました。

カンファレンス室に行くと、担当の先生は、ニコニコっと迎えてくれます。

私たちが席に座ると、「今、落ち着いているので、
ご主人の希望としては家に帰りたいという気持ちがあるんですよね」

「はい、帰りたいです」

「奥さまはどう思っていらっしゃいますか?今は在宅治療と言われて、家で治療をする
方向になって来ているのは奥様もよく知っていらっしゃると思いますが、どうですか?」

「私は無理だと思います 。私には出来ません。痛みのコントロールはその時その時で
対処法が違います。その度に、先生に来ていただき、処置してもらうとなると、
お金がいくらあっても足らないじゃあないですか?前回の退院の時、
訪問看護の人が1日来ただけで7000円請求されたんです。」

「社会保険でやっているなら、高額医療の請求と限度額を利用すれば、ある一定以上は上がらないですよ」

「そうなんですか?訪問診療や訪問看護も社会保険適用なんですね」



「奥様はお仕事も目一杯されているんですよね、施設の夜勤の仕事と、ピアノ教えて
もう一つ、他にもやっていらっしゃる。」

「はい、女一人で16年生きてきたんだから、
仕事は目一杯やったって生きて行くのが精一杯。やっと、起動に乗り始めた仕事を
辞めてまで看病しなくてはいけないですか?家に帰れば、私が今まで以上に負担があります。
それは、前の病院を退院して来たときに感じました。
1日で、痛み止めを飲み切ってしまい、病院に頼んで薬を出してもらい、
診察を受けて薬をもらって、次の日には、また飲み切ってしまい、救急外来に行って
痛み止めをもらって、、、此処に入院させてもらえば、そんな事はないし、その分、
私のできることで、一生懸命やって来たつもりです。」

「そうですね、ご主人をー釣りに連れて行ったり、歌を聞いてもらうこととか、
色々考えてやっていらっしゃったですね」

「息子さんはどう思いますか?」

息子は黙っています。

「お父さんが家に帰りたいということは、一人では色々が出来ないから、
お母さんや息子さんの協力なしでは、出来ないんです。どうですか?」

「僕は出来ません。学校もあるし、今年卒業で就職活動もあるし、
ずっとついていることは出来ません」


「ご主人は、やっぱり家に帰りたいですか?」
「はい、帰りたいです」

「どうして、今日、此処に皆さんに集まってもらったかというと、ご主人の病気は
治らないということをはっきりと認識していただき、一日一日が貴重な時間だということを
わかってもらうためです。ご主人は、今は退屈だとか、暇だとか思っていらっしゃるでしょうが、
そう言ってられるのも今のうちで、痛みが強くなっても、腹水が溜まって、顔が浮腫んできたら
点滴が過剰だということで、点滴は辞めなくてはいけなくなります。段々、筋肉も衰え
歩くことさえ無理になってきます。そうしたら、今みたいに外出も出来なくなります。
今が大切な時間なんです。それをわかってもらい、今後どう過ごして行きたいかを
皆さんで考えてもらうことが必要なんです。もう、数週間あるかないかです。

さあ、この話はここまで。すぐに結論が出る問題じゃあないですから」

そういって、面談は終わりました。

息子はこのあと大学に戻るというので、お昼ご飯を院内のレストランで食べながら、
話しました。

今から、ケアマネの人に頼んで、また介護ベッドを入れてもらい、訪問看護の人と、
訪問診療の先生をお願いして、家に帰ったら、またすぐに
入院か、、、、だから、そんな無理をして家に帰る意味があるのか?って感じだけど、、、」

「お父さんは、煙草が自由に吸いたいだけだと思う。前回、帰って来た時も、寝てるか、ベランダで煙草吸ってるか、だったから。
退屈っていうけど、じゃあ、パソコンでできるゲームを持って来てやろうか?と言っても
やらないって言うし、本を読みたいということもないし、何がやりたいのか、よくわからない。」

「そうよ、外出したいって言うから、何処に行きたいの?何がしたいの?」と言っても
「わからない、だけど出かけたい」っていうし、、、

そのあと、私一人で病室に戻り、煙草を吸いに外に連れて行き、病室に戻る前にサロンで
かき氷をお願いしました。
ボランティアの方々が運営しているところで、3時のおやつに、
飲み物を居室に届けてくださったり、お部屋の花をいけてくださったりしてもらっています。

夫は、かき氷なら口に入るみたいで、いつも、かき氷のレモン味を注文しているみたいです。

私がお盆を返す時は、500円をお盆に乗せて返しますが、
今日は私もいただいちゃったので1000円を置いて来ました。

見栄ではなく、お花にしても、かき氷にしても、本当にありがたい、
協力してもらっている感謝の気持ちです。