一昨日、6件目の施行に呼ばれました。
行き先は、そこの葬儀社が、式場としてよく使っているお寺の元おくりさん。
90歳だそうです。
社長が、とても気づかっていらっしゃる様子で、「これは大事な施行だぞ」と思いました。
昔、会社に勤めていた頃、よく、葬儀社の担当の方から、「偉いお客様だから、特に
綺麗にしてやって」とか、「丁寧にしてやって」とか言われたことがありますが、私は、どんな方でも、皆一生懸命やります、と言いたかったのですが「はい、わかりました」と言っておきました。さいしょ社長と話しをしていた、多分若いおくりさんが、私の仕事をみながら「大変な仕事ですね、最初慣れるまでは大変じゃなかったですか?」と質問され、私は手をやすめず、「好きな事でしたから、全然大変じゃあなかったですよ」と答えます。
施行中に、おくり様登場されました。
「お世話になります」と手をやすめず、ご挨拶をしました。
そのまま、お布団の近くまで見えましたので、「今、入れ歯を、お外しして、入れ歯の替わりに、ーお口の中に綿を含ませ、お口がきちっと閉まる事ができました。どうしても、お痩せになると、入れ歯が大きくなってしまい、お口がきちっと閉じる事ができませんでしたので、そうさせて頂きましたが、お口元は、どうでしょうか?」
「良いじゃないの」
「ありがとうございます」
「髪型ですが、お写真のように、ふっくらとセットさせて頂きたいと思いますので、今、カーラーをまかせていただいています」
「そう」
こんな感じで、自分が今、やっている事を簡単に説明しました。
若いおくりさんにも、全て確認とりながら行いますが、ここの大将おぼしき、おくり様にも説明と確認を取り進めました。
途中、お坊様(多分此処の若住職さん)もお部屋に入って来られましたので、
「お世話になっています」
とご挨拶しました。住職は、おくり様に、
「明日は、私と◯◯の住職と◯◯の住職の3にんでお務めすることに決まりました」
と報告にいらっしゃったのでした。
「はい、わかりました」
とおくり様。
施行中でも、お話しは聞き耳を立てて、顔を合わせたら、こちらから先にご挨拶。この中で
1番発言力を持つ人は?施行の確認は誰に取ればいいのかを見極めないと、
関係ない人に確認を求めれば、もう一度同じ質問をしなければならなくなるのです。
これは、前の会社で徹底的に教えられた事の一つですが、間違えるとクレームの一つにもなるのです。それは口紅の色でさえ、一人の人が、その色で良いといっていたのに、後から電話がかかってきて、口紅の色が濃いから直してください、ーということにもなりかねません。
それは、仕方ない場合もありますが、確認を取らずに自分の趣味思考で色を決めてしまうと、クレームにつながるのかと思います。
元おくり様は、唇の色が、少し、黒く変色している箇所があり、そこを目立たなくするためには、少し濃いから色の口紅を塗れば隠れるので、そのためには、この色目はどうでしょうか?ともっていけば、それを聞いていた人が、もし、別の人が見て、ー口紅が濃いといっても、これはねーと説明してくれるのです。
言いたかったことは相談と確認、ーこれが大切ってことです。

何度も書いていますが、思い上がりと思われてもいい、私は日本一の死化粧師。
そんな自分が大好き。だけど決して天狗にはならない。自分は全然凄い人間ではなく、ただ
皆さんの「最期のお別れ」が美しいものになるようにお手伝いさせていただけたら、自分が「生きててよかった」と思えるように指の先まで神経を研ぎ澄ませて、じーっとその故人様を見れば、こういうお顔だったんじゃあないかな?と思うようにお顔を作っていけるのです。
決してお金儲けとか、そんなことは考えていないのです。