朝10時の仕事が入って、事務所に10分前にお邪魔しますと、奥様から「今日、ー続けてもう一件行けますか?と聞かれました。
「はい、大丈夫です」と言いますと、すぐ社長に電話で「愛花さん、大丈夫ですって」と
連絡して頂き、続けて2件施行に行きました。
1件めは、おじいちゃん、2件目はおばあちゃんでしたが、2りとも、お口があいて、頬がこけているので、含み綿を入れ、お家の方に「生前のお顔とお変わりないですか?と聞きます。
「おじいちゃんの顔だー」と皆がいい、これで良いとオッケーもらうと「お口があいてこないように、接着させて頂きたいと思います」と了解を得て、お口をとめます。
私が1番こだわるのは、ここです。
お口をギュッとつむってしまうと、気難しいお顔になったり、頬にあまり含み綿をしすぎると、飴をお口にいれているようになったり、左右に同じように入れないとバランスが悪いし、少しづついれては、正面から見て、左右をみながら、頬の上に向かっていれると、口角が上がって、少し笑った感じに見えるようにします。でも、あまり笑すぎてもいけなく、微笑む程度に、、、
綿も、白い綿は、水分を吸収して、口の中でだまになって固まってしまうので、黄綿を使い、最後の仕上げは、頬、顎のあたりを、撫でてならすようにします。
「これでよし」と自分に納得してから、お家の方を呼んで、「お口もと見ていただけますか?」と確認をとります。
この作業が難航すると、施行時間もかかってしまうので、前の会社では、一施行(納棺なら30分)と決められて、それ以上かかると「何に時間かかりましたか?」聞かれます。
一緒に行った相棒(2人ペアで行くので)は、私が髪の毛をカールしたり、お化粧にこだわることを嫌がります。次の施行に向かわなくてはいけないので、さっさと済ませたいのです。
だから、私は自分のこだわりを納得いくようにやるには、自分の手を早くするしかなかったのです。
今は、時間を気にすることも無く(まったく気にしないのもいけないのですが)
大体1時間くらいかけている感じです。

今のペースでお仕事が出来たら、すごく幸せ。
何時もの倍のお金が入ったから、前から買わなくては、と思っていたシューマンの飛翔のCDや、孫のピアノの教則本やで、5000円、お土産のケンタッキーやらで3000円を使い、早速、孫の所に2時間かけて向かいました。
「ばあちゃんが、猫踏んじゃった、教えてあげるからね」と孫にプレゼントしたキーボードで「猫踏んじゃった猫踏んじゃった、猫踏んづけちゃったら泣いちゃった」まで教えると、何度も何度も弾きます。こっちが、もう一回やってみなさい、といわなくても、何回でも弾きます。
息子には二人とも教えたことはなくて、たまにピアノをさわって、「母さんが、ピアノの先生なんだから、何か弾けるだろって言われる」と教えてほしそうにしているのがわかっていても、教えませんでした。
それが、孫なら教えることが出来るのは不思議ですが、なんだか、孫に好かれたいっておもっているんでしょうね、叱ってまでは教えたくないのだけど、私が死んだ時、「ばあちゃんには、ねこ踏んじゃったを教えてもらったな、」とか思い出してもらえたら幸せ、なんて思っています。
息子は、「ケンタッキーなんか買って、景気いいじゃない?」ってきかれたので、「納棺のお仕事が2件も入ったのよ」と言いますと「へー良かったやん」と言いました。マンションの管理費が5ヶ月分溜まっちゃって、今月は夜勤のお給料が入るから、なんとか払えるかなっていつも綱渡りの生活なんだけど、今日ばかりは、皆に振舞って、私のこと褒めてもらいましょーそんな感じです。