久しぶりに映画を鑑賞しました。

斎藤工さん主演の「家族のレシピ」です。
この作品は、シンガポールと日本の食を軸として、蘇る家族の絆を表現します。

ラーメン屋を営む日本人の父(伊原剛志さん)とシンガポールで生まれた母(ジネット・アウさん)との間に生まれた斎藤工さんが演じる真人は、10歳で母を亡くします。

母のことを語らぬ父も他界し、真人は目指すラーメンのスープを探究するため、子供の頃過ごした母の故郷シンガポールへ!

母は寂しさと悲しみを日記に残しましたが、真人はその理由をシンガポールで知りました。
実は、母は日本人と結婚することに猛反対を受け、家族から交流を絶たれていたのです。

真人はシンガポールで母の母親であるお祖母さんに出会い、真人の探究したバクテーから考案したスープを使ったラーメンで、お祖母さんに母の赦しを得ます。

お祖母さんから孫である真人に家庭料理を習い、できた料理を食した時、真人は幼い頃に味わった母の味を思い出し、喜びと涙を浮かべます。

もう何年も味わっていないし、そして味わうことができないはずの母の味は、お祖母さんの料理から味わうことが出来たのです。
母の味は、身体の奥底に記憶として眠っていたのでしょう。

しっかり蘇った時のシーンは、斎藤工さんの絶妙で、素晴らしい演技で表現され、映画を観る人の心に感動を与えます。

真人は幼くして母を亡くしているため、母の記憶も薄れ、母からの愛情も途絶えていたはず。

このワンシーンで全てが表現されていたと思います。

家族が寝静まった深夜に、私はボロボロと涙を流し、テレビの画面が見えなくなっていました。

私の母は認知症で、今は施設にいます。
会いに行っても、私が息子だと、もうわかっていないようです。
だから、私も母の味はもう味わう事は出来ません。

映画のようなドラマは私にはありません。
母は煮物が得意でしたが、なぜか焼き飯が下手だったんです。美味しい料理を鮮明に覚えているわけではなく、幼い頃に味わった美味しくない焼き飯の味を鮮明に覚えています。それも怒られた後に出された焼き飯を。

普段の生活では、特に意識しないで食べています。でも、意識せず食べていても、家族と一緒に過ごた様々なシーンを一皿の料理から思い出させてくれます。

この映画を観ながら、子供の頃の家族と母の味を、映画のシーンと重ねて合わせて思い出していました。

ほんとに素敵な映画です。宜しければご覧下さい。

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