全く手応えのないまま、悔しい気持ちでいっぱいの中、『ネタ見せ』の結果発表を聞くぼくら。
一本ネタでは『Fローレンス』が落ちていた。。。
で、続いて新人コーナーである『コーラスライン』の発表。
いつくかのコンビが呼ばれたあと、『フェイント』という名が呼ばれる。
え?!受かった!初のネタ見せでだ!!さっきまでの落胆はどこへやら。でもこの合格がさらにぼくの成長を留めることとなる。
初合格後も『ネタ見せ』を受けさえすれば本番に出られるという、本番に出たことすらないコンビがほとんどな中、多少優越感とプライド的なものが形成されつつ、でもそれに満足はしていなかった。
やればやるほど目標は出てくる。ぼくらが出る『コーラスライン』とは、お客さんがつまらないと思ったら手を挙げ、その数が10人に達したらネタ終了となる、ゴングショー形式であった。そう!目標は完走だ!!
でも、なかなか完走できない。。。
そんなスッキリしない状況の中、仲良くなった一人の芸人から「Tさんのボケが観たい!」と単刀直入に言われるのである。ぼくはボケ失格ということを他人から初めて言われたのだ。
まあ何回か本番を経験したぼくはこの時期、さすがに気がついてはいたが、なんだろう意地みたいなものでボケのポジションにしがみついていたのである。
でも他から言われたおかげで素直になり、本当に面白いことを求めるために、『ボケ』は彼、『ツッコミ』はぼく、という形にようやく到達したのである。
ただ、ツッコミどころかお笑いさえ知らないぼくは、これまで以上に彼の足を引っ張ることになるのである。
そう、その昔ダウンタウンの浜田さんも言われたという「ボケはいいのに、ツッコミがねぇ~。。。」みたいな。。。
相方に教わり続けた。事務所に入ってからは先輩に聞きまくった。そしてTVやビデオだけでなく自分が出ているライブはもちろん、足を運んで生の笑いを観まくった。
1+1を2以上にするために。。。
カメのように時間はかかりながら、見捨てずにぼくを育ててくれたのが彼である。
でもこの間、ぼくが発展途上どころかど素人レベルなのに、ライブの『ネタ見せ』は負け知らずで、経験しながら成長できたのは他の相方では成し得なかったことかと思う。感謝感謝である。
そんなフォローの風の中、やっとのことで1+1=2以上は確保できるようになり、多少自分たちの状況も見えてきたところで、チャレンジの気持が芽生えてきたのもこの頃だったか?
『ン』へ。。。