新しいコロニーでの生活も、何となくだが堂に入ってきた…ような気がしないでもない。

テレビを観ていても布団で寝ていても落ち着かず違和感を覚える、所謂「ここじゃない感」も、今の処は感じずにいる。

たまに用事があって、前のアパートの近くを通り、ついでだからと立寄って外観を眺めたりするが戻りたいとも思わず、むしろ「こんな所に5年近く住んでいたのか〜…」と果てしない気持ちになったりするので、“ホームシック”の心配もなさそうだ。


何より、今度の住処は眺めがとても良い。

高い所が好きな私としては大変に喜ばしい。

いや、家賃が高いのは喜べないが。


さて。

やってきたのは中心地であり、都会であるからして、買い物には困らない。

車で15分圏内にスーパーがたくさんあり、ダイソーやSeriaの100円ショップもあちこちにあり、ドラッグストアも点在している。

コンビニに行く習慣がほとんどないのであまり気に掛けないが、もちろんコンビニも多い。

そして、クリーニング屋さんも多いということを知った。


人生で全くと言って良いほどクリーニング屋さんとは無縁であったが、この度、制服をクリーニングに出す都合ができたのだ。

クリーニング屋さんかぁ…。

そういえば『仮面ライダー555』にもクリーニング屋がいたな、などと懐かしい感じになりつつ。

まずは、ほぼ毎日行っているスーパーの店子のクリーニング屋さんに行ってみた。

中には入らず、外から様子を伺う。

そもそもクリーニング屋さんの実態がわからんので、料金形態が謎なのだ。

自動ドアに貼られたお知らせボードを目を凝らして見るが、『会員様限定価格!』とか『Yシャツ1枚150円〜!』とか、よくわからん。

何より、店内では店のおばちゃんと、知り合いらしき買い物途中のおばちゃんが談笑中であり、入店できる余地はない。


「ダメだこりゃ。次行ってみよ〜」

諦めて、別のクリーニング屋を探す。

いつも行くドラッグストアのある通りに、クリーニング専門店があるのだ。確か、あったはずだ。

そして気になるのはやはり料金のこと。

クリーニング利用スキルがないので相場がわからんのだ。

はてさて…と頭を捻っているうちに、目的地に着いてしまった。

「やあ、ここだここだ」

と駐車場に車を停めてビックリ。


『家事代行サービス。訪問ハウスクリーニング』

と、扉にデカデカと印字されているではないか。

クリーニング屋さんじゃなかったぞい!

すわ、困った…。

一体どこのクリーニング屋さんに行けば良いのだ。

どこにクリーニング屋さんはあるのだ。

また、さっきのおばちゃんペチャクチャのクリーニング屋さんに戻るのか?

途方に暮れつつ、街を彷徨う。

すると逆にビックリ。

あちこちにクリーニング屋さんがあるではないか。

全国規模のチェーン店から個人経営するお店まで、30分ちょっと徘徊しただけで10軒近くのクリーニング屋さんを見付けてしまった。

すわ、困った…。


1軒もないのは困るが、ありすぎるのも困る。

過ぎたるは及ばざるが如し、だ。

いよいよにっちもさっちも行かず、とにかく相場もわからんので、時間を於いて最初のおばちゃんペチャクチャ店に託すことにしたのだった。


上下4枚で3500円。

高いのか安いのか、わからない…。