タイトルがちょっと…見る気がしないな…と思っていたんですけど。
でも…宮崎駿色がとても強い作品だという感想を聞きました。
私はジブリじゃなくて、宮崎駿が好き。
ハイジの可愛らしさやコナンやラピュタのアクションじゃなくて、彼の妄想というかイメージが好き。
たくさんの異なる空の飛び方(ハウルは歩く!)、古い建造物や遺跡、トトロで姉妹が住む家、ポニョで水の下にある家の洗濯物、巨大な海の母、千と千尋の建物、水の上の電車…ストーリーがまとまって無くても、そういうものがたくさん見られたら、良いんじゃないかな?
あと…ちょっとした動きや姿勢に、執拗に(自分の思う)リアリティやキャラ設定を盛り込むところも好きなんだな〜。
と、思い直して…。
チョクと行ってきました。
前半は予想以上。
ちょっとホラー気味なくらい、先の展開が分からない。怖い。
でも出てくるイメージはどれも好き。
それほど凝る必要のない母屋ですら、最初に外見が出たとき、これかっと思いました。
家とか風景とかの「好き」が、一緒なのかな。
後半はユーモアやアクションもありの活劇になって…長いのもあって少々疲れました。
私とは逆に前半は嫌い、後半が楽しい…という意見も散見します。
宮崎駿の昔の作品のオマージュだとか、アニメ制作現場の修羅を描いたとか、色々な解釈や考察も読むのは楽しいですが、私には関係ないかな。
アオサギマニアの方からの考察記事が一番面白かったです。
ストーリーはともかく、キャラクターは好き。
主人公の男の子は礼儀正しくしっかりしている。礼儀正しいのは周囲に心を開いていないから。心に闇があると、周囲に露骨に反発したり閉じ籠もったりする話が多い…というか、簡単。
この昔風の男の子らしさや、その後の行動力はとても好ましい。ちょっとした闇の現れ方も彼らしい。
女性達もそう。逞しくて。
あのキャラがあれか!はびっくり。
ここら辺までは面白かったです。
(○○○が集団で出る辺りで脱落したくなった…。)
私は自分のことをグズでドジでメンタル弱いと思っているので、フィクションでまでそういう弱いキャラクターは見たく無いのです。自分だけでたくさん。
乗り越える話は、良いですけどね。
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ここからはとってもネタバレなので、未見の方はご注意下さい。
一番、宮崎駿らしいと感心したところ。
火の作画が素晴らしい。
素晴らしい…だけじゃなく、火の中で亡くなった人を火の支配者として昇華させるなんて発想は…凄い!と思いました。
…もしかして同じような体験をした人には辛すぎるだろう…だろうとは思いますが…私は宮崎駿のこの、強さが好きです。
年齢的に、本当に彼にはこんな体験があるのかも知れない。
この設定があまりに心に響いたので、一見複雑なストーリーのこの映画は、私にとって母を助けられず自分の生きる価値を見失った少年が、母の死を受け容れ自分を受け容れ現実に戻るまでという単純な成長物語として収まりました。後は妄想。
何かに導かれて異世界に行く子供。不思議の国のアリス、ナルニア国物語…皆が親しんでいる構成。
どう生きるかはあまり響かなかった。
いや「悪意を掴むな」は響いたかも。
発想の元になった本を読んでから、行けば良かったのか。
火の話と同じように(私が思う)宮崎駿らしいのは、主人公と継母との微妙な距離感。そして産屋のシーンで、主人公は、本当は彼女が嫌いで居ないほうが良いと思っている癖に!と言われても(実際その通りだけど)怯まない。継母の方も主人公が大嫌いだ!と言ってしまう。それでも、お母さんと呼ぶ主人公とか…好きだな。
信用ならないアオサギとの距離の詰め方も良い。これはだんだん関係が変わって行くシーン(嘴の栓、井戸など)がどれも楽しかった。
これがリアルにどうかということでは無く、こんな風に他人や物事を捉えている宮崎駿の在り方が良いと感じる。
鳥糞多過ぎ。
インコ以外に文句を。
終わり方が呆気なさ過ぎる。
あと米津玄師のバックに絵が欲しい〜。
テレビで見るのは勿体ない。
もし宮崎駿が好きならば…です。ジブリでは無く。
昨夜、息子二人は見に行って、「まとまりが無い」「長すぎる」と、ちょっと怒ってましたけどね。
ま、それも分かる。
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二回目鑑賞。
ストーリーや意味を追いかける必要が無く、振り回されないですんだ感じ。落ち着いて鑑賞出来ました。
アニメーションの質は本当に素晴らしい。
他にも新海誠など絵の素晴らしい人は多くいるし、数年前の「海獣の子」も眺めているだけで幸せでした。
でも、宮崎駿は存在感というか、現実感が凄い。音や効果なのかな。絵の描き方も違うんでしょうね。
内容が分かっているので、じっくりアニメーションを味わいながら観ました。
性格や年齢で異なる歩き方のせいで互いの距離や歩く速さが変わっていくのとか、可愛いワラワラにも個性があって異なる行動をしているとか。
二回目は最後まで飽きること無く、全部楽しかったです。
今なら言える。
これは凄く良い映画。
少なくとも私は大好きな映画でした。
新しい文句を。
ヒミ泣き過ぎ。