大感動だった「スリービルボード」の監督の新作と言うので、見に行きました。

映画の話なので、いつも通り自分の印象のつらつら覚書です。映画を見てないと意味分からず、ネタバレもありまくりです。ごめんなさい。

今まで親友だと思っていて、毎日多くの時間を一緒に過ごしていた相手に、突然「お前は退屈だから」という理由で絶交されたら。



見る前の予想とは少し違っていて、友達の方は人気もあり、没頭出来る趣味もあり、頭も良さそう。パブに行けば人に囲まれるし、一人でも充実してそう。それに比べると確かに主人公は退屈で…凡庸というより、愚鈍な感じもする。その友達以外には、賢い妹(この人、とても素敵)と鼻つまみ者の青年しか彼を相手にしていない。後にその二人も離れるので、彼は孤立していると言っても良いくらい。
周りの人も結構、悪意に満ちてる。

う〜ん、つらい。

納得出来なくて(結果として)つきまとってしまうお馬鹿な主人公に、友達の拒絶の仕方もエスカレートする。

ますます、つらい。

友達は元々優しさから主人公に付き合ってやってただけなのかも。実際、拒絶しながらも思いやりは見せていたから。この人はずっと優しい顔をしてた。
あの激しい拒絶の方法は、相手に断固とした意志を示すと同時に、彼を切り捨てる自分への罰?もしや何かのメタファー?

それでも感情の「あいこ」なんて、何(身体、家)を引き換えにしても得られない。


歳をとってくると残りの時間の貴重さを痛烈に意識する。時間が勿体無い!生活を見直したり、人間関係を整理したりする。下らない話をボランティアで聞いて、他人を癒やしてる場合じゃない!自分の人生が虚しいのに!
そんな友達の気持ちも良く分かる。というより年代的にも私はそっちの焦りに捕まってる。

一方、「良い人間」だけではだめなのか、「優しい」とか「他愛無いお喋り」の何が悪いのか、優しさは芸術より価値が無いのか、という主人公も…否定はできない。自分が出来る限り精一杯のことをそんなふうに否定されたら、切り捨てられたら。怖すぎる。

映画を見る前の予想では、良い大人同士が何やってるのか、という可笑しみがあると思ってたけど、そもそも二人は対等には思えないから、良い大人同士とは言えないな。
おっさん同士が子供のような喧嘩をしている話…とは到底思えなかった。



例えば神父の激昂が?血まみれの演奏が?ブラックだけど、コメディだというセンスなの?



例え血まみれでも、アイルランドの音楽には癒やされる。コンサートのバイオリンとは違うハスキーな音色。

虹や太陽、景色はうまく使われてる。
島って不思議です。凄く狭くても、閉じていても、風景は海が入って無限に広々する。
アイルランドの風景は美しいと感じる人が、多いかしら。私は苦手。




「スリービルボード」みたいに、登場人物の間で次々に化学反応が起こる、そんな爆発力は感じなかった。けど、噛み締めていると色々出てくる映画でした。
全体にブラックなんだけど、動物の扱いなどの小さいところで、「スリービルボード」のときにも感じた優しさが垣間見えて、ちょっとだけホッとする。

精霊(バンシー)のような老婆の予言は結局、あの彼とあの可愛い子?

背景に戦争の気配が常にあって、ストーリーに関わってくるのかと思ったけど、あくまでも背景。
歴史的背景の理解が十分では無いのであやふやだけど、この狭い社会の二人の戦いは、アイルランドの内戦の暗喩なのかも。外敵(イギリス)ではなく、内戦の時代なのがね。終わりが無いのかもね。「あいこ」はいつやってくる…。

ラスト近く、「犬の世話をしてくれてありがとう」という友達に、主人公が「anytime(いつでも)」(字幕は少し違うニュアンスでした。慣用句でそっちが正解なのか)と答えていたので、もう終わったのか、終って欲しいと思っちゃった。


楽しい映画では無かったので、「バビロン」を観たがっていた人を付き合わせて申し訳無いです。
私は見て良かった。


※ネットで、知的障害者と周囲の人間の話だという説を読みました。
確かにそれはとても分かりやすい納得出来る説だけど、そう言っちゃうとそれだけの話、になりそうな危うさも感じる。この映画の寓話性や深みが霞んでしまいそう。


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今日は珍しくシネプレックスで見たので、映画めしは隣のしゃぶ葉で。

お肉が苦手のこたつパンダさんなので、初しゃぶですって。
でも今回は海鮮コースがあるのです。
こたさんは辛いのも駄目なので、出汁もさっぱり系で。

ここの良いところは香味野菜が思い切り食べられるところ。
すぐ火が通るので食べやすい。

左(柚子)で海鮮、右(白だし)で私のお肉。

この後、白玉ぜんざいやソフトクリーム(何で写真が無いの😱)で終了。

野菜たくさん食べました。
…ので、食べ過ぎだけどまあ良いか。