勝手にすばらしい音が響く。
どうやっても、いい音が出てくる。
僕が弾いているのではなく、ピアノのほうが勝手にいい音を出してくる。
僕の頭の中に、無数の音楽のメロディ、響き等がすでに存在している。
組み合わせは自由自在。
花が語りかけてくるように。
さわやかな風が吹いてくるように。
雷が激しい感情をぶつけてくるように。
それらが、完璧なリズムの鼓動のなかで、今の命を生きる。
生まれては消えてゆく一つ一つの音が、
宇宙の中の永遠の今を表現している。
恋人が永遠の時間を潜り抜けて僕のもとへやって来て、
耳元でやさしくささやく。
その恋人が語ったメロディを忠実に
白と黒の鍵盤のうえで表現する。
ゾクゾクする大いなる甘美の中で
最後にその恋人が僕に口づけする。
それが、僕の命であり恋人であるピアノの証しである。
イエイ。
