レアアース 中国は安定供給を再開せよ(7月13日付・読売社説)
レアメタル(希少金属)などに対する中国の輸出規制について、世界貿易機関(WTO)が協定違反と認定した。
米国と欧州連合(EU)が2年前、「自国企業を優遇し、内外無差別という自由貿易ルールに反する」として提訴していた。「資源や環境の保護が目的」という中国の主張を退け、輸出規制の改善を求めたのは妥当である。
WTO判断に従い、中国は速やかに輸出制限を見直すべきだ。
中国が同じように輸出規制を強化しているレアアース(希土類)は、レアメタルの一種で、鉄などに混ぜて磁力を強めるネオジムなどの総称である。ハイブリッド車や携帯電話などハイテク製品作りに欠かせない。
中国は世界生産の9割を占め、日本は使用量の9割を中国からの輸入に頼っている。中国は輸出量を年々削減してきており、価格は軒並み急騰している。
中国は昨秋、尖閣諸島沖での漁船衝突事件後、一時、レアアースの対日輸出を滞らせた。中国の資源囲い込みに伴う品不足と価格高騰が、日本の産業に悪影響を与える状況を放置できない。
日本は中国に、安定供給を粘り強く求めていく必要がある。レアメタル紛争ではWTO提訴に加わらなかったが、今後、レアアースの共同提訴も含め、欧米との連携を強化すべきだ。
レアアースを確保するために生産拠点を中国に移転する日本企業の動きも懸念される。
ハイブリッド車向けの高性能磁石用合金で高い国内シェアを持つ昭和電工は、中国での生産を増やすことを決めた。レアアースの輸入にこだわり続けると、生産が制約されると判断したようだ。
現地調達を重視する企業が増えれば、日本のハイテク技術が中国に流出したり、国内産業の空洞化が進んだりする恐れがある。
日本政府が、中国に輸出規制の是正を求める一方で、産業界にも中国産レアアースへの依存を減らす自助努力が求められよう。
ベトナムなど中国以外の調達先の拡大を加速させたい。レアアースを使用しなくても、ハイブリッド車向けのモーターを生産できる代替品などの開発には、政府が補助金を拠出している。
レアアースを含む携帯電話機などのリサイクル促進も必要だ。
東大の研究チームが、太平洋海底でレアアースの巨大鉱床を発見した。採掘技術やコストが課題だが、脱中国依存の一環として、開発の国際協力に期待したい。
***社説終わり***
他国との協調を唱えている方もいると思いますが、やはり日本とは違う文化が存在します。
自国の利益を「日本の常識を超えて」優先する国もあるのです。
やはり、協調と同時に、他国に依存しないシステムを作り上げることが急務だと思います。
パスカル進学教室(茂原市)