~長編、再び~


※「GET BACK」は短編のところにありますが、長編です。。。


指輪、沈んで   2.翳るカフェテラスで   3.その後に密談弁じて   4.その空間に、割れた愛  


5.この現実の、散逸


憂鬱なエレジーで弔いを    ある男の残した詩的な日記

 


  ~日常的短編~


水の音 蜜柑 赤い涙 飽和 明日、風が吹いた後



   ~短編~


1. つむじ                      11. GET BACK 一話     21. GET BACK 十一話


2. 片割れ落花生                 12. GET BACK 二話     22. GET BACK 十二話


3. スタイル 一話 ドリーム           13. GET BACK 三話 23. GET BACK 十三話


4.スタイル 二話 思い出            14. GET BACK 四話 24. GET BACK 十四話


5. スタイル 三話 ミスマッチ         15. GET BACK 五話     25. GET BACK 十五話


6. スタイル 四話 イマジネーション      16. GET BACK 六話 26. GET BACK 十六話


7.スタイル 五話 エアー 17. GET BACK 七話 27. GET BACK 十七話


8. スタイル 六話 執行           18. GET BACK 八話     28. GET BACK 十八話             


9. スタイル 七話 綱              19. GET BACK 九話      29. GET BACK 十九話  


10. スタイル 八話 挫折       20. GET BACK 十話 30. GET BACK 二十話


                                    31. GET BACK 二十一話
                                    

                                    32. GET BACK 二十二話

                                    

                                    33.GET BACK 二十三話


                                    34. GET BACK 二十四話


                                    35. GET BACK 二十五話


                                    36. GET BACK 二十六話

       

                                    37. GET BACK 二十七話


                                    38. GET BACK 最終話                              


                                      

                                    

小説


~変身~



1. 変身                     11. 女神


2. 発覚                     12. 鏡  


3. 現実                     13. 修羅場


4. 内側                     14. 罪


5. チョイ悪おやじ               15. 慟哭


6. あみん                    16. 粉雪


7. 奇跡                     17. 走者


8. プロレス   18. 迷宮


9. 誘惑                     19. 生還


10. 悪戯                    20. 報道                     


                         21. 民衆




 「じゃあ、そろそろ出ようか。」
 あたしがシャンパンを飲み干した後、彼はそう言うので、あたしはしぶしぶ彼に黒いハット帽を返してやった。
すると、彼は満面の笑みを浮かべた。それはまるで、お預けを食らって待っていた犬にえさを与えたときと同じくらいの喜びようで。あたはいつもそれが見たくてつい彼に意地悪してしまう。
 だって可愛いんだもの。そういう時の彼。
 
 「それじゃ、あたし払ってくるから。ここで待っててね。」
 あたしはいつものように会計の紙を持ってレジへ向かった。
 彼はあたしの、いわゆるヒモなのだ。
 最初はほんの出来心だった。夫がほかの女に走ったのが3年前。それの憂さ晴らしとして、夫に内緒で開いたパーティに友人が知り合いだと言って彼を連れてきた。アルビノのような真っ白い肌に(白を通り越して青いくらい)、まつげの長いコジカのような瞳をつけたような彼を。
 あたしはひと目で気に入ってしまって、時間も忘れて彼と夢中で話した。映画のこと、海辺の星のこと、異国に産まれた件(くだん)のこと、それから明日のことと、明後日のこと。
 それから何時間も経ったあと、話題がつまってしまって深い沈黙が訪れると、自然とあたしたちはひとつになっていた。
 
 それ以来なのだ。彼をお金で縛り上げて自分の所有物にするようになったのは。
 

 「じゃ、僕はもう帰るよ。ありがとう。」あたしは彼のその言葉に絶望した。彼と別れ際にはいつもそうなる。
 「待って、今日は主人いないのよ。」自分でもどうしてこんなに必死なのかわからない位必死で情けなくなる。
 「・・・。違うよ、今日も、だろ?」そう言うと、彼はあたしを抱きしめた。
 ああ、そうだ。いつも主人は居ないんだった。ひょっとしたら、彼と一緒に居たいのは、寂しさを紛らわせたいからなのかしら?
 あたしは彼の腕の中で思考を巡らせた。しかし、彼の温もりによって、それはひどく鈍ってしまい、最終的には「何もかもどうでもいい」に変わっていた。ただ彼のことがとてつもなく好きだ、という事だけ確信が持てたから。
 しばらく、どう言ったらいいのかわからなくなってしまったあたしはだんまりを決め込んで、彼の腕だけをきつく握り締めていた。
 すると、みかねた彼は、へばりついたあたしの体をベリベリと自分の体から剥がした。それから困り顔で口を開く。
 「仕方ないな。・・・だけど、今日はすごく具合が悪そうだよ。顔色悪いもん、秋子さん。」

つづく
「それ、あたしの方が絶対似合う」
あたしはそう言うと、彼が被っていた黒いハット帽を取り上げて、自分の頭にそれを沈めた。
「ほら見てよ」
絶対の自信を持って、あたしは満足げに彼の目を見た。
だって、あたしって何でも似合うんだもの。
いわゆる、自分が服に合わすんじゃなくて、服や装飾品が自分に合わせてくれるタイプだから。
そうよ。
思えば、どんなものだって、あたしの前では不幸にもモザイクがかかった様にくすんでしまうのよね。
お気に入りの薔薇のコサージュだって、ティファニーのダイヤのピアスだって、はたまた彼がくれたゴージャスなアメジストの指輪だって。全部ぼやけてしまうの。
だってそれら以上にあたしってば、美しいもんだから。
だから、こんな何でもないような帽子があたしに似合わないハズがないじゃない。
証拠にほら、今彼は美しい宝石を眺めるような目であたしを見てる。
まぁ、当然のことね。

「うん。そうだね、確かに似合ってるよ。」
表情が緩んだ彼の言葉に、あたしは両腕を胸の前で組みながら深く頷いた。
「そんなの、言うまでもないことよ。」
あたしはすっかり気を良くし、硬く組んだ両手をはずすと、目の前のテーブルからシャンパンを手に取った。
ほころんだ笑みを浮かべながら。
そして、彼に向かってグラスを軽く上下させるような仕草で乾杯の合図を取った後、グラス3分の1ほどのシャンパンを喉の奥へと流し込んだ。

「あれ?どうしたの?いつも一杯目は飲み干すじゃない。全部。」
顔を曇らせながら彼は言った。
あたしは、いつもそういう些細なところに気づく彼は、感覚的な面で頭が良いんだな、と思った。
そうなのだ。大抵いつもなら、こんなシャンパン息継ぎなしでも飲み込める。
だけど、今日は体調が悪いせいか、飲めない上に、美味しいとすら思えなかった。

「いいでしょ、別に。あたしの好きなようにさせてよ。」
あたしは彼と過ごせる貴重な時間を無駄にしない為、平気なフリで、残り3分の2になっていたシャンパンをガブついた。

つづく
○朝、会社へ出勤してから横目でチラチラと、時には大胆にテレビを見る。
○昼、ご飯を食べながらやっぱりテレビを見る。勿論チャンネルはCXのサングラスの方ね。
○夜、猫のように深緑色のソファに寝そべりながら当たり前のようにテレビを見る。完全に忘我の状態で。

先週の水曜日の話を知人とした。
だが、私は先週の水曜日に何をしていたのか、記憶がイマイチあやふやだ。
いや、先週とは言わず、ここ最近の記憶がスコンと抜け落ちている。
これを記憶障害と呼ぶのだろうか。
しかしながら、そんなマイナスなことを安易に認めたくはない、と思う。
(全く、私ってヤツは変なところにだけプライドがある。)
それ故、逆にある別な思考が生まれてしまった。

(これはもしや・・・そうか!地球外生命体に拉致されて記憶を盗まれたのか?)

もう現実逃避が癖になっている。悪い癖だ。


そうこうしているうち、私が記憶の壁と必死に格闘しているのを見切ったかどうかは解らないが、知人が助け舟を出してくれた。
「先週の水曜日のあの番組、見た?面白かったよね。」
私はその番組を皺がすっかり伸びきった脳みその中から探し出した。
ああ、あった、あった。助かった。
「・・・あ、そうだそうだ!!思い出したよ!あの番組ね!見た、見た!!」
そうだ、私は先週の水曜日、あの番組をしっかりリアルタイムで見ていたのだ。

しかし、何故思い出せなかったんだろう。

考えあぐねいた結果、先週の私の行動を思い起こせば、ほとんど毎日が上記の繰り返しだった。
明らかにテレビに依存しきった生活。そのテレビ中心の生活体系はテレビに支配されていると言っても過言ではない。
しかも、毎日が一定のリズムを刻むような単調で変わり映えのしない生活なので、日付とか曜日とかいう定義はもうとっくに失くしてしまっていた。(澄み切った空と空気で、もうすぐ冬が近いことだけは解るのだけれど。)


あのインチキ手品師が出てくるプログラムを見たのはいつだったっけ?
犬がテレビの中で大笑いしてたのっていつだったっけ?

それより何より----

ブラウン管の中で一際輝く君を見つけたのはいつだったっけ?


こうしている間にも、私は自分の手首に蛇の如くへばり付いた腕時計を確認する。
もうこんな時間か。
  
    テレビ見なきゃな。

「ココ壱」に入店する際に、入り口にデカデカと貼られたスープカレー(カリカリチキン)のチラシに秒殺されたので、席に着くなりさっそくそれを注文した。

しかし、私は根っからの辛党。
だので、「辛くしてください」と自信に満ち溢れた表情で店員に申しつけたところ、「辛くするのは良いが、せいぜい(辛さ指数)1か2にしといた方が身のためだ」的な事を示唆された。

だが、駄目だと言われると余計やりたくなるのが人間で。
私はもう、辛さがどうのというのではなくて、ただただむき出しになった反骨精神でもって、
「じゃ、3(4倍)でお願いします!」とピシャリと言い切った。(あまのじゃくね)
すると店員は不服そうに
「・・・・。はい、3ですね?」と再度確認をとってきたが、その顔は何だか今にも「ファイナルアンサー?」とでも言い出しそうな表情をしてたため、私は
「はい、3でお願いします。」と答えつつも、心の中では大声で(ファイナルアンサー!!!)と叫んでいた。
(ああ、くだらない。)

それからほどなくし、注文したスープカレーが遂に目の前に並べられる瞬間を迎えた。
胸の奥に芽生える期待と不安。
「ああ、これは一体どんな辛さなのか」
一種の未知との遭遇に胸の鼓動は高鳴るばかり。

そして覚悟を決めると、私はそれにゆっくりスプーンを差し入れた。
そしてすくい上げた液体を一口。
一気に体内へ流し込む。
そうしたら・・・・・


     咽 頭 やれ 咽 喉 、 大 炎 上。


もう、あまりの辛さに目からは涙、額や背中からは大量の汗。
おまけに体温(特に喉の部分)はあがりすぎて、まるで地獄の業火で焼かれているような(?)熱さ。
それでも我慢して食べ続けていると、舌は次第に麻痺。
で、最終的に、完食時には唇がいかりや長介。

     おそるべし。たかが4倍されど4倍。まあカレーだけとは言わず、ものごとには必ず限度というものがあり、何でもかんでもむやみやたらに足し算や、掛け算したからといって、それらが決して良い方向へ向かうとは限らない、ということを改めて学んだ気がする。


ところで、私がカレーと死闘する様を陰のほうより伺っていたのか、会計時、オーダーをとった店員がしたり顔で
「辛さはどうでした?辛かったでしょ?」と「それみたことか」的な感じで聞いてきた。
こういった場合、あまのじゃくな私の返答としては「全然大丈夫です」と強がってみせるパターンが多い。
しかし今回においては、スープカレーのあまりの辛さにタージマハルの幻想を見てすっかり悟りを開いていた為(嘘)私は、至極素直に、
「あぁ、すごく辛かったですね。めちゃくちゃ汗、ふきだしちゃった。」と可愛く(?)返答したところ、店員、どういうわけかドン引き。

うーむ・・・・。

とくにオチ、ないなぁ・・・。

「目つく白痴の人なり、低脳なり



だがそれは唯の瞞着であって


蠱惑的な才能に 悩殺


時代まで奪い去るその混沌とした奇抜さなんて


もう 堪らない程 憧憬するわ

風は止まった。僕は歩くのをやめた。空を見上げながら口笛を吹く。だけど、どうしてもあの歌の「♪転げ落ちる~」というところが出せない。低音だから。僕はそこを何度となく繰り返す。バカの一つ覚えみたいに。そして何度となく失敗するんだ。その都度苛立つ。五回目の演奏で、やっぱりまた失敗した。僕はもう堪らなくなり、次の六回目の演奏では「ころげおちるぅ~」と口を動かしてしまった。しまった。これじゃ歌そのものだ。そう思った瞬間に僕の右足が重くなった。驚いて地面の方へ目を向けてみる。すると僕の足の先には「くーん、くーん」と毛むくじゃらの大きなタワシの様なモノが絡み付いていた。「なんだ?これは。」呟きながらよくよくみてみるとソイツはポメラニアンで。名前は「エリコ」。近所のクソババア(いい歳こいた色情狂)が飼っている犬だ。やけに僕になついてくる。「おお、よしよしよしよしよしよし」僕はエリコの頭を撫で、ついでに首があると思われる部分(デブ犬なのでよくわからない)を擦ってやった。だけどエリコは猫ではないのできょとんとしている。それでも僕はエリコの首を擦り続けた。「ちょっとおよし!」後方から声がした。このしゃがれ具合とがなり具合はあのクソババアしか思い当たらない。僕は振り返りもしないで告げた。「…火、貸してよ。」相変わらず僕はエリコの首を擦っている。「…しょうがないねぇ」その乾いた声と共に、僕の視界の中に無数の皺が刻まれた手がにゅるっと飛び出してきた。その手には100円ライターが握られて。僕は無言でそれをむしり取った。ようやく僕はエリコの首筋から手を離し、煙草を取り出そうと着ているシャツの胸ポケットを探った。ない。今朝買ったばかりの「HOPE」が。慌てて僕は立ち上がった。そしてズボンに四箇所ついているポケットにも手を伸ばした。しかし、ない。「おや、どうした?」しわくちゃのババアがしたり顔で僕の顔を覗き込んできた。やっぱりエリコの飼い主だった。僕はそれを不快に思った。なのに「ほら、はやく煙草、吸ったらどうだい?」とクソババアは挑発してきやがる。僕は頭に血が登る、登る。それで、僕は舌打ちしながらその100円ライターを思いっきりアスファルトへ叩きつけてやった。その瞬間フラッシュの様な閃光が走る。ライターは爆発した。そして時は止まる。一瞬の空白。それと沈黙。「わんわんわんわん」真っ先にその沈黙を破ったのは、普段はおとなしいハズのエリコで。驚いたのか。わめき出している。狂ったように。そんなエリコに少し遅れをとる様に、今度はクソババアがわめき始めた。こいつも狂っている。「ちょっと!危ないじゃない!!!何やってんのよ!!・・・・・・あーだ、こーだ」途中から何を喋っているのか聞き取れなかった。早口が過ぎるんだ。だから僕はひたすらだんまりを決め込んだ。そして頭の中で歌を歌う。「♪転げ落ちるぅ~」。それから僕はその歌のサビの部分だけを歌い終えると、そのままそこを立ち去った。あれ?今日は、僕、何をしに出てきたんだっけ?

「君を救いたい」


そんなエゴを衰弱したあの子に押し付けようとしている自分に気付き、すわ涙が出そうになった。


あの子の弱さも、悲しみも、苦しみも、全てを知っているフリをするけれども、


結局僕は何にも解っちゃいないのだろう。


それよか、僕はあの子を食い物にすらしようとしている。


あの子のもつ、不幸という名の甘い蜜をヨダレ垂らして眺めているんだ。いつだって僕は。


きっとこれ以上近づけば、僕は笑顔であの子の背を押し、地獄まで突き落としてしまうだろう。


そうして潰れたあの子の甘い甘い蜜を啜るんだ。


だってほら、見て御覧。


僕の口の中に、いつからかは覚えてないけれど、舌がもうひとつ増えてしまったんだ。


それもかなりどくどくしい色のものが。



なぁ、これって、僕がイヤになるくらい「人間」なんだって証なんだろう?

世界のどこかで


列をなす人たち


その黒い影から転がり落ちるのは


宝石の様な涙


君への最後の贈り物



それから何年か経ったあと


もし僕が今より大きくなった君に逢えたとしたなら


そのときはもう死んだってかまわない



君 を 愛 し て い る か ら さ

ここの他に、ブログを何本か。

それとmixi、コトノハ、twitterと。

今ではほどんど凍結していたりいなかったりですが。


けれども本当のわたくしはそこにはおりません。

ただの虚像にしかすぎません。


今、ここで息を吸い込んで、ただただ呼吸運動だけを必死に繰り返すわたしが本物なのです。


あとは全て、嘘ッパチだ。