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基本調査料

調査料は対象者が誰であろうと、経費(実費)は別だが料金は基本的に一緒である。
そのいい例だが、だいぶ以前になるが、皆さんもご存知のM社の創設社(B・G氏)が日本MS社を立ち上げるため来日した。     

B・G氏にとって日本MS社の社長候補は決まっていたので、最終的な詰めである。  日本の関連業界では誰だか知りたがっているが一般ではまだ日本では騒ぎ立てるほどの興味はなく当時39歳のB・G氏も写真週刊誌に「年齢別の世界一の金持ち」に一度出たくらいで日本人には名前が知れ渡っていなかった。   
この後、何回か来日したのと関連して調査をした社長候補のF氏の調査も合わせると3ヶ月にも及んだ。   

同じ時期に、別件で町の個人商店「仮にラーメン屋としておこう」の奥さんが家出したのと重なった。  信じられないでしょうが、両方の基本調査料金は一緒なのです。  

B・G氏の場合は結婚前で婚約者と一緒に来ていたので京都の観光旅行も全部尾行した。 
途中で観光と判ったので報告しても依頼者は「どこで誰と会うから判らないから継続しろ。」調査員にしてみれば観光の尾行ほどつまらないものはない。

きっと簡単だと思うでしょう。 行き先は判らないし、こまめに動くので普通の尾行より大変なのです。 

それに、B・G氏は長時間(朝6時から夜10時頃まで)働くし調査目的が接触者の身元チェックなので、接触した場合その相手に尾行を切り替えるので調査時間も長くなる。   その分の調査料金が上がる。 あと泊まるホテルが高級な位である。 

ラーメン屋さんの奥さんは一日だけの調査で経費は東京家庭裁判所から横浜の戸塚を往復した分だけだった。   

家庭裁判所を出てからどこに行って誰と会うのか尾行する。
横浜に向かう電車の中で空いた座席に腰かけたが色付きの便箋を読んで大粒の涙を流しながら何度も読み返していた。 中学生の娘からの手紙だった事が後でわかった。 

40を過ぎているが可愛い印象だ。
横浜駅でホームに降りると頭髪を刈上げたまだ二十歳になってないと見られる男が近寄って奥さんの肩を抱く。 

私と調査員は依頼者の子供達は見たこともないので、その親密な雰囲気から一瞬息子かと勘違いした。  

二人はどの店にも入らず、横浜市内を一時間以上うつむきながらあてもなく歩き回る。  若い男は顔もあげず下を向いたままの奥さんの肩を抱きっぱなしである。 

戸塚駅で下車し歩いて木造のアパートに二人は入る。 すぐに依頼者に報告して来るのを待っていると息子も一緒にやってきた。  こんなとき依頼者は興奮して目つきが鋭くなっているか、それを堪えて無口になっていると思いきや、しょげた雰囲気が不自然である。

傍らの19歳になる息子の険しい顔付きが異常だ。    
なんと息子の一番仲の良い友人で小学校から付き合いのある友人の借りているアパートだった。   

妻の浮気より息子の友人と母親の不倫に問題がすり変わった。  依頼者の顔つきの意味が理解できた。 依頼者は我々に「ここはうまく治めるので私達は帰って欲しい」と言う。    父親は自分のことより息子の感情に心が移ったらしい。

我々は親子の危険な持ち物がないかチェックさせてもらい、その場を任せて調査終了とした。
「本当は、少し離れた場所で様子を伺った。」    

後日、調査報告書を渡しに依頼者に会うとあの夜、息子は友人と母親を殴ったらしい。   

それでも母親は「その友人と別れ、今は戻って店を手伝いながら暮している。」と依頼者は明るく話してくれた。   
そう言えば、依頼を受けたとき依頼者は「妻の日記を見てしまった。  好きな人がいて自分で抑えられないと書いてあった。 最近10キロ以上も痩せて本当に心配だ。」と怒りより不安な印象を聞いていたのだが、私は単なる浮気性な女だろうと一般的な考えで処理していた。  一途な性格による真面目(?)な不倫や浮気性ゆえの不倫。   いろいろある。  依頼者は妻をとても好きで、妻もそれを感じていた夫婦なのだろう。 

調査はうまくったが、もし判らなかった場合この奥さんの性格をもう少し気にかけていればと悔やんでいただろう。
世界一の富豪になって、おそらく世界一の有名人になったB・G氏と町のラーメン屋(仮)の奥さん。  基本調査料金が同じである意味がわかっていただけただろうか。
探偵としての感性を何倍も魅し得たのはたった一日だが奥さんの駆け落ちある。  私の事務所からは程近いところにあるラーメン屋。  探偵として気になっても2度と近づいてはいけないのである。

調査に付きもののアクシデント。


覚えていますか、ETCのない頃の高速道路の料金所入り口では料金と引きかえに領収書をもらう。 こちらが料


金を出していても、機械から領収書が出なければ、お金を渡せない。


深夜の、いつになくすいている京葉高速道路を千葉から東京方面に向かう対象者の運転する4駆車


を尾行していたときのこと。


ドライバーは私、助手席が新米調査員なので車尾行のコツを教えながら千葉のゴルフ場から追尾してきた。


対象者の隣の料金所を通過しながら「普段料金所では、真後ろに着くと出足でかなり遅れてしまうので、出来


るなら追い越して先に通過することを心がける。」などと余裕をこいて、能書きをいっていたら料金所のオヤジが


「ちょっと待ってください。 ロールが丁度切れたので。」ときた。  当時、料金の受け渡しは領収書と引きかえに


料金を払うパターンだった。  料金を渡せず「もういい、ほら。」といいながら小銭を投げ捨ててその場を抜けた。


新しい領収書のロールがチラッと見えたが、直径30センチはありそうできっと何万台分を処理できると思う。 そ


の最後にあったたのだ。  対象者との間が開いたが、道路はすいているので直ぐ追いつけると思ったら、対象


者は料金所を抜けるといきなりスピードを上げた。 なぜだかわからないが、300メートルは離されたと思う。


深夜とはいえ同じスピードを出しては警戒される。  スピードを上げるときの心理としては後方をいつもより気に


するものだ。  この件は、不倫調査なので時間を考えても自宅に帰ることは十分わかっている。  いたずらに


尾行を強行して不審に思われても後日やり難くなる。 だが、習性というか自宅方向に向かっているので、つい尾


行をあきらめきれない。  依頼者の妻は、割と私のタイプだがなかなか調査に踏み切れず3度も面談してやっ


と結構出来た仕事である。  本来、1度で決めない依頼者は受けたことがないのであるが、話しているうちに対


象者が憎らしく思えてきたのだ。 




初心者と張りこみ中に指導としてやらせることは、状況の許す限り30分置きに対象の家を見に行かせる。 


むろん周囲に疑われないようにだが、気が着いたことを何でもよいから報告してもらう。 


最初は当たり前に、電気メーターとか生活音がするかなどである。 

がて気付くことが少なくなってくる。 


そのうち、ゴミの収集時間や対象者の家の門扉が内開きか外開きかなど想像が広がって行く。 


この空想力と感性が一人前になる過程で必要である。 これが指導ということである。 

その時々にドアにゴミをはさんで、出入りのチェックをしろなどと教えては何もならない。 自身で気付くことである。  

調査の出来ない営業員が依頼者にとって本当に必要なアドバイスが出来るわけがない。 人生相談なら別であるが。  

大げさな宣伝をする探偵社の中には、ロスにかこつけて調査日数を伸ばしたり、事実の報告を先送りにしている。 この売上至上主義は探偵文化の失墜である。