前回、【ネタバレ注意】恋愛経験希薄な大学生による『花束みたいな恋をした』の見解というブログを書きました。

詳しい感想はあちらに書いてあるのですが、ほぼあらすじのようなものなのでまだ見ていない人向けにも感想を書くことにしました。

今回はネタバレをほぼせずに、この映画の魅力を綴っていきたいと思います。



【総評】(100点満点)

おすすめ度:90点

感動度:90点

ドキドキ度:30点

ユーモア:70点



まずはじめに言っておきたいのは、この作品はふつうの恋愛モノ、青春映画ではありません

むしろそれを期待して見にいくとがっかりするでしょう。

ふつうの恋愛モノは付き合う前の男女をメインに描きますが、この作品では付き合った後の男女をメインに取り上げています。

そのため、全くないとはいいませんが、恋の駆け引きやお互いの探り合いなど男女が恋人関係になるまでの緊張感やドキドキ感を味わうことはあまりできません。

しかし、この作品では恋愛の甘酸っぱさなどと言ったものを超えた人間のもっと本質的なところを鮮明に描いています。

男女の心の動きの違いや恋人同士のすれ違いといった人間的なことから、社会に出て働くとは、生きるとはどういうことかといった社会的なことまでリアルに描かれています。ゆえに生々しく、重いと感じるかもしれません。

この生々しさは近年の恋愛モノにおける陳腐でありふれた設定、都合よくストーリーの進む非現実さを真っ向から打ち砕き、恋愛をテーマにしつつも人生訓を導き出してくれる素晴らしい作品だと思います。

秀逸なのは物語の構成で、現在→過去→現在と時間軸が推移していくので新鮮な感覚であり、冒頭のシーンは主人公である菅田将暉と有村架純の主張が面白く、見ている人を映画の世界へ一気に引きずり込んでくれるはずです。

このようにふたりの会話が面白くユーモアに富んでいるため、ただひたすらに重いわけではないのも評価したいポイントです。

さらにところどころに散りばめられた伏線は、物語が進んで回収されていくにつれて、ふたりの関係がどのように変化していったのかを印象付けるカギとなっています。伏線回収がなされずモヤモヤするといったことはありません。

クライマックスのファミレスのシーンでは、菅田将暉の演技が迫真で涙を誘います。僕も泣きそうになりましたがなんとか耐えました。もっと恋愛経験があれば号泣していたこと間違いなしです。



最後に改めて書きますが、この映画はふつうの恋愛モノではないので、僕みたいに恋愛モノがあまり好きではない人も十分楽しめると思います。

男女の心の動きを鮮明に描くという特性上、少々説明が冗長だなと感じるシーンもありますが、それを打ち砕くほどに最後のシーンで心を打たれます。

これから社会に出る大学生には見ておいて損はないと自信を持ってお勧めできます。