いかにもアメリカンなスーパーマーケットの彩りの中を
カートが進んでいく
ナレーションが言う
スーパーにあるのは
昔ながらの農家のイメージ
だけど並んでいる食品の殆どは
ひと握りの多国籍企業が生み出しているもの
そしてそれらが
どこでどうやって作られたのかは
巧妙に隠されていると
真っ赤なトマトが映る
青いうちに収穫しガスで熟成させる
姿はトマトだがトマトではない
いわば概念のトマト
・・・“概念の”食べものって!?
3.11の後
避難所生活こそ免れたものの
ライフラインが止まり
食べ物は手に入らず
開いてる店に行列をつくって
選んだりできなかった
あるものを買わなければ
食事にありつけない
実際、あったのは加工食品ばかり
たったひとつのカップラでも
買えるだけまだマシ
今でも
しっかり“選べる”ほどの食品は
並んでいない
そんな状況を経験している身には
白々しいほどの色鮮やかさ
・・・鮮やかというより
どぎついと言った方がいいか
アメリカ国内精肉シェア8割を占める食品会社は
ほんの数社
契約農家に
独自のマニュアルを押し付ける
家畜には安いコーン(飼料)を与えさせる
鶏はコーンと抗生物質で
胸肉だけが大きく“つくられる”
身動きできない鶏舎で運動もできず
重すぎる体重を支えられない
10歩歩けば骨折
死んだ鶏を処分する畜産農家は
抗生物質アレルギー
開放型の鶏舎を選べば
企業から契約を打ち切られ
残るのは次々に組まされた設備投資の債務だけ
本来草食の牛が
穀物だけを与えられた為に
腸が耐酸性となって生まれたのが大腸菌O-157
豚もしかり
効率のよさだけを追いかけるマニュアルは
家畜を狭苦しい舎に押し込めていて
糞尿にまみれたままコーンを食べている
衛生状態は恐ろしく悪い
このやり方じゃないと
畜産農家は生きていけないのかな・・・
そうやってマニュアル通り育てても
買い叩かれてるわけでしょ
スーパーに並ぶ時は
安さだけが売りなんだもの
一方で
企業と契約せず
昔ながらの方法で育てる農家もいる
一人気を吐いてるようにも見える彼曰く
「去年よりも病院にかかる人が減ること。それがゴール」
格好いいー!!!
彼が持論を語るシーンで
育てた鶏を潰す流れ作業の中に入って
鶏の首にナイフを入れながら話してるんだけど
先に見た処理工場の画と違って
・・・綺麗なの。
美しいと言えばいいのかな
見てて
全く嫌な感じがしない。
こんな人たちがいるなら
救いはある
消費者は選べるじゃない?
と思うけど・・・
ある家族が
ドライブスルーでハンバーガーを買っている
父親が運転する車内で
食事を済ます家族
食事はいつも
ファーストフードだという
食事を作る暇はない
お金もない
安くてお腹がいっぱいになるからファーストフード
スーパーには行くが
値踏みをしては棚に戻す
父親が言う
1ドルあればハンバーガーが買える
ブロッコリーは1ドルで買えない
母親は
糖尿の夫が目を悪くしないかと心配してる
糖尿、肥満・・・それぞれお互いの体を心配しているのに
家でごはんをつくって
食べることができない
ハンバーガーでお腹いっぱいには見えないのは
アメリカンサイズを知らないから?
にしても
・・・やっぱり見えない
満足してるように見えないのか
スーパーに並ぶ野菜たちも
大規模農業でつくられ
安い筈なのに
それでも買えない
糖尿の薬で稼ぎが飛ぶ
と嘆いていた
負のスパイラルの中でもがいてる
暗い鶏舎に押し込められる鶏と
何も変わらないんじゃないかと思ってしまう
並んでいる食品は
ほとんどが元を辿ると
コーン(飼料)と大豆(遺伝子組替え)
に行き着くのだという
家畜はコーン(飼料)
他の加工食品は大豆
ここにも大企業(種子メーカー)がいる
自ら開発した遺伝子組替え大豆の種を守ろうとするのはまぁ解るが
非契約農家の畑に種が飛んだだけで
違反者扱いって・・・
農家や消費者が食品会社を批判できないって、どういうことなんだろう?
風評被害があれば
企業が農家や消費者を訴えるのがアメリカで
風評被害があっても
農家や消費者は企業を訴えられないのが日本なのか・・・
黙って選べ
ということか
ならば、見極めなきゃいけないよね
オーガニック食品を並べ始めたスーパー
消費者に選択肢が増えるのはいいことだ
だけど原材料はどれだけ開示されてるんだろう
そして値段は?
映画は
最後に下記のメッセージを伝えて終わる
食の安全のために私たちができること
○ 労働者や動物に優しい、環境を大事にする企業から買う
○ スーパーに行ったら旬のものを買う
○ 有機食品を買う
○ ラベルを読んで成分を知る
○ 地産食品を買う
○ 農家の直販で買う
○ 家庭菜園を楽しむ(たとえ小さくても)
○ 家族みんなで料理を作り、家族そろって食べる
システムを変えるチャンスが1日に3回ある
世界は変えられる
ひと口ずつ
変革を心から求めよう
・・・その昔
家の裏には小さな畑があって
歩いて数分の所から
祖母が毎朝通って来ていた
畑仕事を終えて帰る前に
茶の間に顔を出すのが常で
私の顔を見ると
採れたばかりの野菜を自慢気に見せてくれた
私の中の
農家のイメージ
そこには
概念のトマトなどなく
太陽の陽を浴びて
赤く熟れた本物のトマトがあった
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