自分なりの勝ちー「SPIRIT 霍元甲」 | ​ 観るチカラを、生きる糧に。 ー SCREEN(私設)研究所

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観る映画が、あなたの、わたしの、人生のヒントになる。
ここは、SCREEN(私設)研究所。

潜在数秘術×映画で
「観る」ことと心の関係を
映画を通して読み解いていきます。





幼い頃
病弱ゆえに武術を禁じられていた子は

天津一の武人だった父が
敵にとどめを刺さない訳が
わからなかった

母が諭す言葉の意味も
わからなかった



子は、勝つことだけを求め
天津一を誇るまでに
「強く」なった。
そして、



すべてをなくした。
とどめを
刺してしまったのだ



・・・倒した敵を尻目に
祝杯をあげ家に戻れば
老いた母とひとり娘はすでに息絶え



怒りにまかせ敵方へ乗り込めば
敵の亡骸のそばで泣き崩れた母子と
「俺がやった」
とだけ告げて自害する息子



・・・誰よりも強くなったはずの男は
満身創痍で
天津を離れた・・・






周りの言葉に耳も貸さず
突っ走る姿は
観ていて怖かった

流れ着いた山中の村で
彼の名も聞かず訳も聞かず
面倒をみる老婆と盲目の娘がいい。


「思いきり泣けばいい
涙が枯れたら元気になる」
「身を清くすれば、潔く生きられるわ」
「人も(稲と)同じね。
互いに敬えば仲良く暮らせる」



戻ってくるよと
言い残して去った男は
上海へ向かう。


史上初の異種格闘技戦は
一対四の不利な試合。

弟子達の不安と
敵方の疑問をよそに
彼の表情は誰よりも穏やかだった・・・



失うまでの彼が
憎しみや勝ちたいという思い
だけなのに比べて、

戻ってからの彼は
相手に負けを
「認めさせる」戦い方だ



本当に、敵は
自ら彼の手をとり
高々と上げてしまう。

「参りました」ってヤツだね。



相手を倒す「勝ち」ではなく
自分なりの「勝ち」方がお見事です。

そして、最後の戦いは
涙なくして観れないよ。
泣けなかった方がいたら、おしえてね。