最近、短編を見つけて
(これ初出
今ちまたに出回ってるのは後から出した方だよね)
これがものすごい淡々としてて、いい感じでした。
長編の、先生との恋とか、葛藤とかがない分
“正比例して”のスピード感がより増してる。
いつもみんなにからかわれて
そのことすら分からず
わらうみんなのかおをみて
いっしょになってわらっていたチャーリー
だいがくのけんきゅうしつで
ともだちになったアルジャーノン。
めいろのきょうそうはいつも
アルジャーノンがかった
そのわけすらわからない彼。
・・・“手術”を受けてほどなく
チャーリーは初めて
アルジャーノンに勝つ。
彼の“三倍化した”知能は
スポンジみたいに何もかも吸収し始める。
読めなかった字が読める
書けなかった字もすぐに覚える
先生の話がよく分かる
対等に話ができる
・・・いつしか追い越してしまう。
すっかり利口になったチャーリーは
用務員の仕事をクビになる
いつも彼をからかい笑っていた皆に追い出され
ひとり食堂に入ると
新米の少年がドジを踏み叱られるのを見る
・・・嘲笑される彼を見て
昔の自分を思い出す
やがて
アルジャーノンが変わり始め
その様子に
チャーリーは
自分も同じ道をたどると気づく
“人為的に増進された知能は、その増進に要した時間に正比例して、
同じ速度で退化していく”
・・・チャーリーを追い出した工場のみんなが
彼が元に戻るとまた受け入れて
しかもからかう代わりに
優しくかばってくれたりするところに
知能の変化がないこっちは
「なんだよ!」とむかっ腹のひとつも立つんだけど
チャーリーは
“元に戻った”わけじゃなかった
その証拠に
みんなの優しさをちゃんと感じとった彼は
ひとり隠れて嬉し泣きする
それだから
みんなにさよならするし
アルジャーノンのおはかに花をそなえてやってと
メッセージを残す。
・・・あなたは
アルジャーノンのお墓に
花を供える?
![]() | アルジャーノンに花束を ダニエル キイス 小尾 芙佐 早川書房 1989-04 売り上げランキング : 51643 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
