時遅れて走り出す青さー「春の雪」 | ​ 観るチカラを、生きる糧に。 ー SCREEN(私設)研究所

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観る映画が、あなたの、わたしの、人生のヒントになる。
ここは、SCREEN(私設)研究所。

潜在数秘術×映画で
「観る」ことと心の関係を
映画を通して読み解いていきます。





時は大正。
皇族に嫁ぐことになった娘・聡子と
それを知って初めて自分の気持ちに気づいていく
幼なじみの清顕。





「家」に縛られていたとはいえ
聡子の想いは初めから真っ直ぐだ。
呆れるほど、と言ってもいいかも。

小さな行き違いから
自分を拒絶する清顕へ、何度も宛てた手紙。




家は「婚約」を決めてしまい、それが伝えられてようやく
自分の気持ちに気づいた清顕は、
その恋文を楯に侍女を説き伏せ
聡子と逢瀬を重ねる。





果てに身ごもった聡子は
一目清顕に会うことも叶えられず大阪行きの列車に

駅に駆けつけ聡子の名を呼ぶ清顕は事を知らない。
別れ際に聡子が託したのは、

幼き日にわけあった歌留多の読み札と取り札。
・・・あの日、庭に落ちた春の雪・・・



「気づいた」からといって、誰もが
真っ直ぐに想いを伝えられるわけではなく、
伝えられたら
何もかもが叶えられるわけでもない。



・・・聡子が戻ることはなかった。
親達が自分などかやの外で娘の処遇を決めるのを
扉一枚向こうで聞いていたように

出家した自分を訪ねてきた清顕を
その想いを
やはり襖一枚向こうで聞いた。



姿を見せぬままで
これでよいかと念を押されて答える声は

もうこの世では会わぬと決めた女のそれではなく
歌留多を取り上げられて泣いてる
子どものようだった。



もう手に入れられぬと知って
初めて“走り出す”のが
 「若さ特有の」青さともいえる。かも。



・・・そうか
これを観て素直に泣けるのは
若さ特有か・・・


いつから大人になったんだアタシ(笑)。


春の雪春の雪
妻夫木聡 三島由紀夫 行定勲

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