父の前で犬かきを失敗したのが
僕の欠陥の始まり。
・・・感情を押し殺し、ひとり暮らしている男。
初めて愛した女は、産んだ子を彼に押しつけ、新しい男を切らさない。
それでも彼は、妻と娘を愛してる。
やがて両親が死ぬ。
遺骨を抱え戻ると、二人の姿もなかった。やっとのことで捜し当てたが、妻は死に、帰ってきたのは娘だけ・・・
母の死を娘に伝えられないほど打ちひしがれた彼は、死んだ父の異父妹に連れられ、故郷の島に移り住んだ。
生まれてくる家を間違えた
だなんて、初めて聞いたな。
人を失った悲しみは
暦が一巡しないと癒えない
というのはよくわかる。
島は、五月でも雪が残る北の果て。
44年間空き家だったという生家は、四方からロープで支えられてるオンボロ。
地元紙の記者の仕事を見つけるが、担当は港湾(シッピング)ニュース。嫌いな海を相手にするハメになる。
そして、記者経験のない彼はボスの手ほどきを受けて“見出し”をつくるを練習する。
慣れない生活を送りながら、彼は祖先のことを少しずつ知っていく。
そして少しずつ感情を出せるようになるにつれ、
“見出し”はどんどん面白くなっていく。
田舎は、広くても狭い。名乗るだけで、住人たちは彼の知らない話を持ち出す。
叔母の過去を知り、娘と向かい合い、そして希望を見いだした彼の顔は、まるで別人みたいだ。
家さえも失ったというのに。
彼の心を満たしたものは、物じゃなかったんだね。
・・・幼い頃、いやだと言ったのに水の中へ突き落とされて、水面越しに見える父親の姿・・・
相手は違うけど同じ景色を見たことあるから、彼の気持ちが少しはわかる気がしたんだ。
だから、失ったあとの“絶景”も、
よくわかるよ。
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