この映画の上映が決まった去年11月、東京有楽町でしか観られない状況だったので、

東京に所用で出かけたついでに観るつもりが、スケジュールが合わずがっかりしてたの。

そうしている内に先週末から、テアトル宇都宮での上映が決まり、もう嬉しくて・・・

原題はBOY FOOD 少年時代

6才から18才までの12年間、一人の少年とその家族の物語です。

パパ、ママ、お姉ちゃん、ボクを、同じ俳優が12年間演じ続けた事が話題になっています。

こんな映画観た事ない・・・(※以下ネタバレあり)


パパとママは若い時に予期せぬ妊娠により結婚、出産、子育てしながらも、

お互い若過ぎて離婚、パパはアラスカに行ってしまっているという所から始まります。

ママはもっと大学で勉強をしていい仕事につくため、実の母を頼ってヒューストンに引っ越します。

パパが数年ぶりに会いに来て、ドライブやキャンプに連れていったり子供たちとも定期的に交流する。決して悪い人じゃないんだけど、子供っぽくやんちゃなお父さん。

現実的なママは、子育てと勉強、仕事に一所懸命で、再婚したり離婚したりを繰り返す。

離婚率の高いアメリカの一家族の、ありふれた情景なのかもしれません。

映像は15分くらい間隔で、家族の1年が経過するかの様に、少年が成長していきます。
背が高くなり、肩幅が広くなり、声変わりして、ひげがはえてくる。
可愛かったのに~なんて間もなく、残酷に時が過ぎていきます。

彼のお姉ちゃんもいい感じなんです。同じ様に成長していく。2人は決して仲良しでも険悪でもない、普通の姉弟。

小さい頃は親の生活に完全に支配され、振り回されるんだよね。どちらかというと悪い意味で。逆らえないし、逃げられない。子供時代ってなんかかわいそう。振り返ってみると、みんなそうなんだけどね。

それでも、優しくおとなしい、どこか影があるけど立派な青年に成長していく。

パパがボクに言う。「今思うとお前が小さかったあの頃は自分も子供だった。もう少しママが理解してくれてたら別れなかったかもしれない(・・的なニュアンスのセリフ)」

この映画はボクが、大学入学までを描いています。
3回離婚して一人になったママ。再婚して赤ちゃん(ボク達の弟)が生まれたパパ。

ママが子供たちに言う。「いるもの、いらないもの、リサイクルするもの、寄付するもの・・自分の持ち物を整理しなさい。もうこの家は広すぎて必要ないから売るわ。」

姉が聞く。「じゃあ私たちが戻ったらどこで寝るの?」

ママ「もう子育ては終りよ。自由にしてちょうだい。」

そして、いよいよ大学の寮へと出ていく日。

「なんだかウキウキしてうれしそうね。私の人生なんてもう終わりよ。結婚、出産、子育て、離婚、あとは何があるっていうの?そうね、葬式かしら。人生なんてもっと長いと思っていた。なんてあっていう間なの。」

ボクが「なんだよ。あと40年くらい生きられるじゃないか」

このセリフ、グサーッときましたね。10代の男の子には母のこの思いはまだ理解できない。

私もちょうど子育てが一段落ついた時期。このお母さんと同じ。
でもこのお母さんは勉強して心理学の学士号を取って、きちんと自立している。
それでも、こんな風に思うんだ。親も子離れする瞬間は辛いのね。

その点、まだ息子と暮らしてる私は幸せなのか?子離れできないダメな親なのか?

ホントの意味での自立は、やはり家から出すことなのかな・・・などと考えさせられました。

2時間40分の上映時間、長いです。でも充実した内容でした。
人生って、家族ってステキ。