不思議なタイトルに引かれて読んでみたら、ひみつの計画とは「原爆をつくる」ということでした。
これは、ちゃんと子どもたちに知っておいてもらいたいとブックトークをしました。
📖🌻📖🌻📖🌻📖🌻📖🌻📖🌻📖🌻
(三年生のクラス)
私👩「みんなは、原爆は…
・そもそもどうしてつくることになったのか
・なぜ日本に落とされたのか
知ってる?」
(それぞれ思い思いの答えを言います。
知らないと言わないところが偉い(^_^;))
👩「まずね、日本人なら必ず覚えていて欲しい人がいるんだけど…

(画像お借りしました。)
この人は、ロバート・オッペンハイマーというアメリカの天才物理学者で、原爆の父と呼ばれている、原爆を作った人なんだよ。
一人で作ったわけではないんだけど…
チームの責任者だね。」
👦👧「かっけー!」
👩「そー、カッコいいよね。」
👩「当時、ナチスドイツが世界中で恐れられていて…
あれ?…ナチスドイツ知らない?
ヒットラーも?
そっか…(^-^;
第二次世界大戦はわかるよね?
アメリカ対日本で戦った戦争。
あの時、日本はドイツと協力してアメリカやヨーロッパの国をやっつけようと戦争していたんだけど、ドイツはとっても強くて、その上ユダヤ人を皆殺しにしたりしてすごく残忍で世界中から怖れられていたの。
そんな時、アメリカに
「どうやらあの怖いドイツが原爆を作っているらしい。」
という情報が入ったからアメリカはもうパニックになって、
「そんな怖い爆弾をドイツが完成させてしまったらドイツが世界を支配して、もう終わりだ!」
と、大騒ぎになったの。
そこで、アメリカは決断をして、
「よし!我が国も原爆を作ろう!
そしてドイツよりも早く完成させてドイツに原爆を落として戦争を終わらせよう!」
と、考えたの。
そして、誰にこの大変な仕事を任せようかと考えたときに、あのオッペンハイマーに白羽の矢が当たりました。
なぜ、オッペンハイマーだったかというと、天才物理学者ということもあったんだけど、彼はとてもいい人だったのね。
とても、優しくて思いやりがあって明るくて、みんながオッペンハイマーに色々相談したり、とても頼れる人だったから、この人ならチームをまとめて無事原爆を作り上げてくれると思って任せたんだよね。
そして、ついにアメリカの一番下にあるニューメキシコ州の田舎町で原爆を作る「マンハッタン計画」というひみつの計画が始まったの。

1秒の100万分の1というとんでもない短い時間に…!
1円玉よりも少し軽い位の重さのものを爆発させて…!!
それが都市が吹っ飛ぶくらの威力を持つ…!!!
そんなものすごい爆弾を俺たちは作っているんだ !!!!
と、科学者たちはすごい燃えたんだよね。
夢のような研究!
楽しくて楽しくてしょうがない。

でもね、人って楽しいと…
考えなくなっちゃうんだよね。
それが、どれだけの人を殺し、都市を破壊することになるかなんて考えもしない。
自分たちの手で太陽を作るみたいな…無限のエネルギーを生み出す夢の研究に没頭していったの。
そして、ついに出来上がって、誰もいないところで爆発させてみることにしたの。
世界で初めての核実験!
科学者はみんなワクワク
♪+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゚
今までの苦労の思い出が走馬灯のように頭の中を駆け巡りました(ToT)
スイッチオン!\(^_^)/♪

予想以上の威力の凄まじさに研究者は全員ことばを失ったの。
帰りのバスの中では誰一人口をきくものはいなかったって話。
今まで、楽しくて楽しくてしょうがなかった研究……それがどんなものなのか、
研究者たちは、はじめて我にかえって気がついたのね。
全員とても後悔して、
「こんなものを作るのはもうやめよう!」
全員一致でそういうことになったの。
「そもそもの目的だったドイツだって降参して戦争やめちゃったから意味ないし。」
「降参したあとドイツに行ってみたら結局原子爆弾なんて作ってなかったっていうじゃない?」
「俺たちはなんのためにあんなバケモノを作り出してしまったんだろう…」
「実験した結果だけで十分だよね?
これだけで他の国は怖くてもう戦争をしかけて来ないよ。」
そーだ!
もうやめちゃおう!!
そして、全員一致で原子爆弾やめちゃおうってことになったの。
…ただ1人を除いて…
そう、それが…
マンハッタン計画のリーダー
ロバート・オッペンハイマー。
彼は、みんなが騒いでいるところに颯爽と現れました。
彼はおもむろにみんなを見渡すとにこやかにこう言いました。
「原子爆弾を取りやめるなんて何を言ってるんだ
い!
君たちは何を考えているのかね?」
👩「みんなは、悪魔ってどういう感じだと思う?
バイキンマンみたいな感じ?
本当に悪魔のような悪い人って言うのはそう見えないんだよ。
とってもいい人。
いい人は怖いよ。
みんなから信頼されてるいい人ってほんとに怖い。
何も考えずに、この人の言うことなら…って信じちゃう。
オッペンハイマーもとてもいい人だったの。
みんなが言うようにカッコいいから人気者だったし。
だからみんなオッペンハイマーが言うことならって結局考えを変えてしまって、世界平和のために原子爆弾を使わなくてはならない!ということで全員一致してしまったの。
ただ1人ジョセフ・ロートブラッドを除いて。」

👩「彼だけはオッペンハイマーに反対して研究所を出て行ったの。
のちに彼は平和運動をしてノーベル平和賞をもらうんだけどね。」
残りの人たちは再び核開発に邁進して行きました。
でも、1人が疑問に思ってオッペンハイマーに聞きました。
「こんなに一生懸命作ったって落とすところがなければ意味がないんじゃないですか?
ドイツはもう戦争やめちゃったし。」
「いや、落とせる所が1つだけある。」
と、オッペンハイマーは答えました。
「どこですか?」
「日本だ。」
アメリカは、ドイツからまだ戦争をやめていない(正確には原子爆弾を落とさなくちゃならないから、やめさせてもらえなかったんだけど。)日本にターゲットをすり替えたのね。
ドイツに落とせなくなったから代わりに日本に落とすことになったの。
オッペンハイマーは科学者として、どうしても人がいる都市に原子爆弾を落としてどうなるか見てみたかったのね。
人がどうなろうと知ったことではない。
自分が精魂込めて作り上げたものをどうしても試してみたかったの。
恐ろしいよね。
アメリカ政府もすでに2兆3千億円っていう莫大なお金を使っているから、試しに使ってみたいのは同じだった。
どこの都市に落とすかアメリカも色々考えて、はじめは横浜にしようと思ったらしいんだけど横浜は空襲したばかりだったから却下になって…
最終的には京都になったんだって。
でも、京都大好きな陸軍長官が、個人的な思いで必死に止めて説得した結果、
広島になったんだって。
みんな広島だと遠い話のように感じちゃうだろうけど横浜だったかと思うと怖さが身近になるでしょ?
自分のところに落とされたらどうなるか想像して考えないといけないよ。
そして、いよいよ広島に原子爆弾が落とされたの。

みんな原子爆弾ってどれくらいの威力かわかる?
例えば、東京に原子爆弾が落とされたとしたら福島にいる人が「熱っ!」って思う位すごい熱量らしいよ。
アメリカは、こんなに酷いことをしたのに、日本に原子爆弾を落としたことは正しいことだったっていまだに考えている人が多いんだって。
だから、せめて私たち日本人は正しい歴史を知って、この悲惨な原子爆弾のことを知らない人に伝えていかなければならないよね。
~~~~~~~~~~~~~~~~
子どもたちは読み聞かせが終わったあと「ロバート・オッペンハイマー」と復唱してました。
平和のために私たちは何も出来ないかもしれませんが、せめて知っていくことだけでも…という思いで読み聞かせをしました。