図書しどういんの読みきかせ日記 -18ページ目

図書しどういんの読みきかせ日記

教室から遠く離れたすみっこにある小学校の図書館には毎日子どもたちが駆け足でやって来てくれます。
図書館大好きな子どもたちと読んだ本の記録です。

初めて会う子どもたちには、読み聞かせをする前に、「この人は何か面白い話をしてくれる人」と私に対して印象づけるために必ずする話があります。

それは、30年ほど前に実際にTVニュースで見た話です。

この話を黒板に絵を描きながらお話をすると子どもたちは本当に喜んで聞いてくれます。

その時話したものをそのまま話言葉で書いてみます。

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大学生のKさんが仲良しの友人と冬山登山に出かけました。


でも、朝のうちは晴れていましたが、山って天気が変わりやすいんだよね~
しばらくすると猛吹雪で二人は歩けなくなってしまったの。
すると、目の前に小さな山小屋が見えたので二人は急いで中に入りました。
「仕方ない。今日はここで一晩泊まろう。」ということになって寝袋に入って二人は寝ることになったの。



翌朝目が覚めてビックリ!Σ(O_O;)
なんと、隣に寝ていた友人が冷たくなって死んでしまっていたんです。


Kさんはとても悲しみましたが、まだ続いてる猛吹雪の中、死体を背負って山を降りるわけにもいかないので、
「ごめんねごめんね。必ず迎えに来るから…」と、言い残して一人、吹雪の中、山を降りて行ったの。
しばらく行くとまた小さい山小屋があったのでそこでまた一晩泊まることにしました。


すると、翌朝目が覚めてまたビックリ!
なんと、上の山小屋に置いてきたはずの友人が隣に寝ていたのです!
(子どもたちはキャーキャーと大騒ぎです。)


「ごめんなさい!ごめんなさい!必ず迎えに来るから!」とKさんは大急ぎで吹雪の中かけ下りて行きました。
するとまた山小屋があったので(えー!また?と言う子が必ずいます(^_^;))その人はそこで一晩泊まることにしました。
すると、翌朝目が覚めてまたまたビックリ!
上の山小屋に置いてきたはずの友人がまたまた隣に寝ていたのです!
「ごめんなさい!ごめんなさい!必ず迎えに来るから!」とKさんは大急ぎで吹雪の中かけ下りて行きました。
するとまた山小屋があったのでそこで一晩過ごすことにしました。(しつこく同じことを繰り返します。繰り返すと子供たちがどんどん盛り上がります。)

Kさんは
「明日の朝も死体が隣にいるんじゃないか…」と、考えて怖くなりました。
でも、
「まてよ。死体が追っかけてくるなんてあり得ない。何か絶対からくりがあるはずだ。」と思い、原因を突き止めようと山小屋のドアが開いたらカメラのシャッターが切れるように寝る前に細工をしておきました。

翌朝、また隣に友人の死体がありましたが、もう慣れっこになっていたので「あー、またか」と思い(子どもたちの笑い)吹雪もやんだので死体を背負って山を下りて行きました。

山のふもとは二人が遭難したというので大騒ぎで、パトカー、救急車が何台も待っていてくれました。
その人もすぐに救急車に乗せられ病院に入院しました。

何日かして退院して落ち着いたときに
「あ!」と、あることを思い出しました。
「あの時撮った写真はどうなっただろう…」
と、山小屋のドアに仕掛けたカメラを取り出してフィルムを現像してみました。

「あ!」Kさんはビックリ!


そこには、なんと…

ドアを開けて死体の友人を背負って入って来る自分の姿が写っていたのです。
(え!どういうこと?子どもたちがざわつきます。)


これは人間の心のとっても不思議なところなんだけど…

Kさんは友人を山小屋に置いてきてしまったのがとても心残りだったんだね。
悲しくて心配で仕方ないという気持ちが寝ながらまた上の山小屋に戻らせて友人を運ばせていたんだね。
これは、オバケの話でも何でもなくて人間の不思議な心のお話とお友達を大切に思う友情の話なんだよ。

おしまい

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子どもたちは怖い話が大好きです。
でも、本当に幽霊とかオバケの話だと怖がりな子は夜中にトイレに行けなくなってしまいます(^_^;)
なので、幽霊話ではなく怖くても最後はからくりがあったり、ホッとしたり、不思議な余韻を残すような話をするように心掛けました🍀📖