町のパン屋さんで、並べられていたパンを眺めながら、ふと昔のことを思い出しました。
母親は、私の好みに一切関心のない人でした。
甘いものが大好きで、いつも砂糖まみれの菓子パンを山のようにおやつに買って食べていましたが、私の分だとよこすパンもベタベタの砂糖まみれ…
「お母さん、私こういうパンは好きじゃないって言ったよね?」
「あらそお?」
何度言っても、また砂糖まみれのパンを買ってくる…
母は、最期まで私の好みを把握することはありませんでした。
つまり、私には全く関心がない…
愛の反対は、私はやっぱり無関心だと思います(雑栗さんが色々言ってましたが…)。
若い時に、カウンセリングスクールの講師を頼まれてしばらくやっていた事がありました。
よくもまあ、資格も何もない私にそんなことをさせるな…と思いましたが、私の特異な家族環境(家庭内暴力でアスペルガーの姉、サイコパス母、自閉症アスペルガーの父)と数多くの様々な実体験を買われての判断だったようです。
お子さんの不登校や引きこもり、家庭内暴力に悩む親御さんたちが主な生徒さん方でした。
そんな親御さん方に、まずやって頂くテストが、「お子さんの好きなものテスト」。
親御さん方が、「問題」だと思っているお子さんの好きなものを書いて頂くテストです。
これは、冒頭に書いた私の好みをまるで知らない母親との関わりを通して生まれたものでした。
例えば…お子さんの
・好きなお菓子
・好きな食べ物
・好きな曲
・好きな歌手
・好きな俳優
…等々。
全部書き込む事ができた親御さんはほとんどいませんでした。
中には、1つも書けない親御さんも少なくなく…
そして、これが逆に「問題」とされるお子さん方に親御さんの好きなものテストをやってもらうと、も~スラスラ書けちゃう
親御さんたちは、「この問題の子どもをどうしたらいいでしょうかね」…と、相談にみえます。
どうしたらいいかと、色んな人に相談したり、色んな本を読んだりと、とても熱心ですが、肝心のお子さんには一瞥も目が行っていない…。
このテストを通して、それにまず気付いて頂きます。
そして、どうしたらいいか…の前に、このテストの回答が全部埋まる位、お子さんの事をまず知ってほしい。
私が好きな言葉に、西田幾多郎の「知は愛、愛は知」というのがあります。
「知ることは愛」
でも、正確には
「知りたい」と思うことは「愛」…
とにかく、「知る」までいかなくても、せめて「知りたい」とわずかに気持ちが動くたけでも「愛」だと思っています。
そして、この「親御さんの好きなものテスト」を全部答えられるお子さんの方が断然愛があるよな~と、いつも思わされていました。
私の母親も、きっと一問も「子どもの好きなものテスト」が答えられない…。
せめて、1つ位は、答えられて欲しかったな…と、パン屋さんのパンを眺めながら思いました
(ちなみに私が好きなパンはフランスパンです。)