母が急に亡くなって一番困ったのが銀行…
「亡くなった途端に口座が凍結されて預金が下ろせなくなる」というのを聞いたことがあったからです。
下ろせなくなった預貯金は、裁判所などの複雑な手続きを経てやっと下ろせるようになるのだとか…
大変だ~
母が亡くなったのは、夜の7時位だったのでもう銀行はやっていませんでした。
「困ったな~」
自宅で亡くなった母の場合、まずは110番をしなければならないそうです。
それから様々な手続きを踏んで火葬となります。
今すぐに110番をすると、もう銀行で貯金が下ろせなくなると思い、仕方なくこのまま一晩置いて明日の朝一番で母の預金を下ろしに行こうということになりました。
そして、翌朝9時に銀行へ行き、預金を無事に全額下ろし、110番をして警察を呼びました。
警察の方で呼んだのか、まずはじめに救急車が到着し、隊員さんが急いで母の人口呼吸を始めました。
なので慌てて「あの、もう夕べの7時に亡くなったんで…」と、伝えると隊員の人たちは驚いて
「え!そんな前に亡くなってるんですか?
なんですぐ119番しなかったんですか?」
と、詰め寄られました。
ヤバい…
銀行口座が凍結される前に貯金を下ろさないといけなかったから…なんてとても言えません。
「えっと、自宅で亡くなると警察が来て検死のためにすぐに遺体を持って行かれてしまうので、それは嫌だったから一晩ゆっくりお別れしたいので電話しなかったんです。」
と、苦し紛れのウソをつきました
救急隊員の方たちは、「決まりなので亡くなっていても人口呼吸はしないといけない。」と言われ物々しく処置が始まりました。
つまり「亡くなった」という判断は医者しか出来ないらしい。
その時ひらめいた!
「あ!あのここに医者がいますので…」
運がいいことに父が医者だったので、父の判断で処置はしなくていいということになりました。
(助かった~)
でも、後から来た刑事さんは、直ぐに電話をしなかったことについてとても不信感を持ったようで、私に対して厳しい尋問が始まりました。
しかし、これも医者の父の判断で、もう処置のしようがなく完全に亡くなったということが確認されたので、「静かにお別れしたかった」という家族の気持ちを理解していただき(本当はそんな気持ちはサラサラないのですが…)、無事に「無罪」とされたのでした。
この時ほど、父が医者で助かったと思ったことはありませんでした
そして、様々な行程を経て、無事火葬となりました。
やれやれ…
焼き終わるまでの間、葬儀屋さんと世間話をしていると、上記の銀行騒動の話題に…
「もう、ほんとに大変でしたよ~」
と、こぼすと、葬儀屋さんはキョトンとした顔をして
「亡くなっても口座凍結されないですよ。」
「…へ?」
「もしもし、今なんておっしゃいましたか?」
「だから、こちらから銀行に言わない限り、銀行は口座の名義人が亡くなったことはわからないんですよ。
どこからも連絡は行かないですから。」
「えーーーーー」
マジですかっ?
ビックリしました。
知らなかった…
葬儀屋さんが、言うには役所も警察も銀行も郵便局も税務署も、その他諸々、みんな結構繋がっていないから案外わからないんだそうです。
「なんか、誤解されている方が大勢いますけど、亡くなると直ぐに口座が凍結されるっていう都市伝説があるんですよね。
基本どこからも連絡は行かないですし、こちらから口座を閉めない限りは永遠に生きてるんですよ。」
脱力…(;∀; )
あの苦労は、一体なんだったのか…
今までの疲れがドッと出た瞬間でした。
「お疲れ様でした」
葬儀屋さんがニッコリ笑って労ってくれました。
私の人生って無駄な努力の連続…
いつもにこんな感じなんですよね~
いまだに母の口座は自由に出し入れできます。トホホ…