彼の話はいつ聞いても驚くことばかりだった


その話から何かを学ばない日は1日としてなかった


例えば彼はこんなことを言った


自己実現を真に果たすということは、仕事を通して築いた自分を他人に語ることができるということだ


しかし本当に調和のとれたしっかりした人間になるには、自分がすることが本当に自分がしたいことであって他人がさせたいことではないことが肝心だ


と彼は言った


人によって差はあるが僕らは子供の頃から他人が僕らについて持っているイメージ通りに自分を整形してしまうものなのだ


誰よりもまず親が、それから教師が、友達が、人生の伴侶が、また時には仕事仲間が僕らについて持っている、持とうとしている、あるいは持っているつもりでいるイメージに合わせようとしてしまう


多くの人がそのようなイメージに合わせようとしながら成長し自己を形成し時には変形までしてしまう


そうしていることに気づきもしない人も少なくない


他人の期待に応えなければという気持ちが抜けないどころか、その人の中にますます深く根を張って、しまいにはそれがあたかも自分の考えのようになってしまうのだ


君はそうはならないでくれ


もう手遅れだという日を待っていないでくれ


そんな日は遠からず必ずやってくる


その日になったら気がつくだろう


君がそれまでどんな道を通ってこようとも、その道はこれから君を待ち受けている道よりはマシなのだということに


計画がいつのまにか思い出に入れ替わり人生はもうわずかな部分を残していき直すこともできなくなっていることに


その日になって後悔しないでほしい


君の道は君自身が選んだ道で怠惰だったから、あるいはもっと悪く、他人を喜ばせたかったから選んだ道ではない


そう思って安心できるようになってほしい