それはいつも何故か夜深くにやってくる。
深夜、10分ほどの間隔で陣痛がくるたび、ううと目覚める妻ママチュウ。
僕も徹夜の構えで、ひたすらに妻の腰をぐっぐっと押し続ける。
長い長い夜だ……。
深夜2時、陣痛が10分間隔を切る頃にはママチュウも相当弱っていた。
ついに成育医療センターに電話。
なんとか入院まで認めてもらいたい……。
だが何故かママチュウ、電話ではさもまだいけるかのような雰囲気を醸し出す。
助産師さん「では一時間くらい様子見て、また進んだら電話でも大丈夫ですか?」
ママチュウ「はーい。大丈夫です(お上品な声)」
いや、全然大丈夫じゃなさそうじゃないか(困惑)。
電話後もママチュウ、うんうんと痛みに耐えながら、
やがて寒気や下痢、おりものに鮮血まで出始める。
ひやひやの一時間経過。
それでもママチュウ、動かざること山の如し。
この謎の強さは一体……。
前世は忍?
隣でやきもきしながら、ついに朝日が昇った。
そして朝6時。
まだ陣痛間隔は不規則だけど、やっと再び電話。
陣痛タクシーで病院に向かうと、
子宮口は4cmくらい開いていたようで、このまま入院となった。
僕は立ち合い禁止のため追ん出されるが、さあいよいよ。
分娩の前後には、自宅にてテレビ電話などで参戦するつもりだ。
十月十日を共に駆け抜け、まさかこのフィナーレは想像していなかったけど、
願いは何ら変わることはない。