妻ママチュウが三十うんちゃら歳の誕生日を迎えた。
「誕生日はプリンセスデーだもんね!何でも好きにできるんだよね」
毎年そう言っているママチュウ、いくつになってもウキウキしている。
記念日とかプレゼントか、そういった文化を彼方に忘れている我が家です。
そこで、プリンセスママチュウが願ったこととは……。
「じゃあまずは、一緒に髪切ろうね!」
何故か美容院に連れて行かれる。
子どもが産まれたらばたばたするだろうから、と。
美容師さんも、夫婦セットでやってきて、ちょっと笑ってる。
「次は、100円ショップでお買い物ね!」
節約ママチュウ、ずっと買いたかったらしい色んな小物をまとめ買い。
全然誕生日感のない、庶民派プリンセスである。
「ディナーはパンケーキね!パパスケ、作ってね!」
これも近年いつもおねだりされる。
ケーキでなく、パンケーキ。いろんなトッピング付き、
可哀想にママチュウは舌がもげてるのか、これをご馳走と思っている。
そんなこんな、質素なバースデー。
本当にこんなので良かったのだろうか?
と思いきや、最後にママチュウ、珍しくプレゼントが欲しいと言い出した。
それは、これまでの流れに反して、結構なお値段のデジカメ。
「だってほら、これからチビチュウのこといっぱい撮ってあげたいからね」
考えてみれば、今年の誕生日はほとんどチビチュウ尽くし。
ほしいものは、チビチュウのために。
ママチュウ、着実に、立派なママとなっているみたいだ。