cavaさんのこと

cavaさんのこと

推しがいる生活。あれこれを綴った雑記帳

IUの新曲『Love wins all』。

MVにはプライベートでも親しい間柄のキムテヒョンが共演するというから、ずっと楽しみにしていた。

キムテヒョン、そう、わたしの大好きなひと。

いったいどんな映像になっているかドキドキしながら公開と同時に再生ボタンを押した。


 

 

テヒョンがあまりにも自然で、演技なのか素なのかわからなくなってくる。

もちろん演技なんだけども、テヒョンが見せる表情、動作があまりにも自然。わざとらしさが一切なく役そのもの。

あまりにも生々しくて、2人が紡ぐ物語に没頭してしていたら、涙が流れた。

 

 


短編映画のようなMVだった。

ディストピアのような廃墟、謎の物体から逃げる傷だらけの2人。

言葉を話すことができない女と右目が見えない男。

わかりやすい愛いっぱいの映像とは真逆の視点から、愛を訴える物語。


 

 

これは、誰にもあてはまる人間の一生、生よりも終わりを意味する死が印象に残る。

地位があって豊かだろうが、身体、精神的に困難があろうが、死は平等に訪れる。

その最後の時を、どういう「記憶」で終えるか。

上辺の環境からは、そのひとの一生が愛あふれる一生だったかなんて、本当のところわからない。

2人の記憶しか、それを証明するものはない。

 


2人を追うキューブ型の謎の物体。

特定のなにかにしなかったことで、観たひとがそれぞれ抱える嫌悪や困難な状況を想像させる。

自分を苦しめるなにか。

どんなに幸せのひとだって、なにかしらはある恐怖の存在。

 



若いうちに華やかな頂点の景色をみたIUとテヒョン。

知らぬ間に高い高い山に登ったことで、見えない嫌悪が自分のやること言うことすべてに追いかけてくる、そんな恐怖を知っている2人だからこそ、この物語はより一層リアルさを増す。

 

 


建物の中で見つけたビデオカメラ。

2人の目を通してみると、なぜか希望を感じない廃墟の世界は、輝きと色を纏った希望の世界に映る。どんなに荒れて争いある酷い世界でも、自分がみたいものをみることはできる。

そこに誰かを想う気持ち、「愛」があれば。

 

 


最後の瞬間まで、一緒にいることを望んで選んだ2人。

架空の物語だとはわかっていても、この先テヒョンに訪れるだろう現実世界の最後の時を、タイムリープして覗いているようでどうしようもなく切なくなる。

 

 


テヒョンなら選びそうなんだもの。やりそうなんだもの。そんな表情しそうなんだもの。

 

そこに危険があれば、自分の手を繋いで安全な場所へ引っぱってくれるひとを。

食べものを頬張ってついた口の周りの汚れをやさしくふいてくれるひとを。

たとえ廃墟や無人島であろうと、そこにあるものを最大限に利用してちゃっかりとロマンティックに遊び尽くすことを。

おしゃれして、最愛のひととその時を思い出に残すことを。

どんなに敵いそうもない相手(環境)にも、最後の最後は自分が最愛のひとを守ろうとすることを。

離れたくない最愛のひとの手の温もりを忘れないように、最後の瞬間まで力強くにぎることを。

 

大好きなひとに口元をふかれたとき、自分でふくよ!っと止めるわけでもなく、されるがままに素直にふいてもらっているもの。

とろけそうなほど温かくて穏やかな顔で、そばにいる大切なひとに微笑んでいるときがあるもの。

追いかけられて、追い詰められて、もう無理かもと思ったときは、絶望に似た苦しい悲しい表情を静かにしている気がするもの。

 

 

見たことがあるから、見たことがある記憶があるから、だから、だから、苦しい。すごく切なくて苦しい。

 

 

 

 

ウエディングドレスとタキシードを着た姿のまま、最後の時を迎えた2人。体がなくなって、着ていたウエディングドレスとタキシードは、衣服の山の一部となる。

この衣服は、そのひとの人生、最後の時をどう過ごしたかを表現しているかのよう。

 

だから、このIUとテヒョン演じる2人は、愛を象徴するウエディングドレスとタキシードを選んだから、どんな困難な環境にあったとしても、最愛のひとと幸せな最後を迎えて幸せだったんだと思う。

 

 

Our love wins all

love wins all

Love, love, love, love

と歌うIU。


混じりっけない澄み切った歌声は、誰かを包み込むやさしさと、ブレず上がり続ける高音が迷いがない力強い信念のようで、まるでゴスペルのようにも聴こえて鳥肌がたつ。

 

 

 

テヒョンの視力がある左目をそっと手で隠して、見なくてもいい最後を見せないやさしさと、代わりに自分の両目でしっかりとその最後を見届けるIUの強さは、ひとつの愛のカタチを教えられたようだった。

男性だから女性をリードするものとか、凝り固まった性の描き方じゃないところも、すごくよかったな。

 

 

この左目を隠されたときのテヒョンの表情、もしかしてテヒョンは、見えない設定の右目にいれたカラコンには度をいれていなんじゃない?と思ったりもする。

テヒョンは目が悪い。だから度をいれていないカラコンだと当然右目は見えにくくなる。

片目が見えない状況を意図的に作り出しているんじゃないかと思うほど、最後の表情は怖いほど見えない世界を表現していた。

IUの愛で塞がれたテヒョンの視界は、視点をなくし焦点があわず宙をみていた。

 

 

 

このMVで流した涙、テヒョンが歌う『For Us』のMVを観たときと同じ類の切なさかもしれない。


見えるんだよね、見える気がするんだよね。

テヒョンが残したい、記憶したい、忘れたくない、そこに実際には描かれていない、テヒョンが見る誰かとの景色が。

 

 

 

ああ、やっぱり感じてしまう。

どうだった?ぼくの演技。よかったですか?と、やっとわたしたちに話せるいまのテヒョンがいない寂しさを。

 

もちろんよかったよ。泣いちゃったよ。

怖いくらいの演技力に驚いたよ。


愛って無敵なんだね。