引用元はスポナビです
==ここから引用===
■われわれにはほかのチームにない力がある
デンマークを破り、ガッツポーズで喜ぶ岡田監督=ルステンブルク 【共同】
引き分けでもいいという状況で、受けに回るような戦いをしたくないということで、立ち上がりは少し攻撃的な4-2-3-1の布陣で臨んだんですが、中盤のゾーンの間を使われてボールを回され、ピンチが何回かあったので、急いで元の4-3-3に戻してなんとかディフェンスが安定したあと、いい形でFKから2点取ってくれました。2点というのは非常に怖い得点差で、2点で終われない、もう1点なんとか取りたいということで、チャンスがあったんですが取れないなかで、相手が早めにパワープレーをしてきました。でも選手たちは動じることなくよく耐えてくれて、そしてカウンターから3点目を取ってくれました。われわれとしては理想的な展開で終われました。
ともかく、選手たちが臆することなく、そして冷静にかつ、激しく戦ってくれた。素晴らしい選手たちに感謝したいとともに、われわれのチームはほかのチームにない力があります。それは選手、サポートメンバーを含めた27名、スタッフが目標に向かって1つになれるということ。サッカーがチームスポーツであることを証明しようということでスタートし、それを見事に証明してくれたと思っています。
ただ、まだわれわれの終着点はここじゃないと思っています。次のパラグアイ戦に向けて、今日は1日リラックスさせたいが、明日からスタートしたいと思います。
――日本は国外でのW杯で2勝して決勝トーナメント進出を果たした。勝因は何だと思うか
いろいろな要因があると思います。わたしがこの代表チームを途中から引き受けたときも、南アフリカのW杯は冬だから暑くないと。走るサッカーをわれわれはやる、走れる環境にあるはずだと。そういう意味ではこの涼しい環境はわれわれにプラスだったと思います。ただ、それ以上に先ほども言いましたように、苦しい状況の中をチーム一丸となって乗り越えてきて、初戦に勝てたことがみんなの大きな自信となった。なかなか本大会で世界相手に持っている力を出せなかったのが、今回はそういうチームの力のなかで、個々の力をすべて出し切れるようになったことが大きいと思います。
■メンタルの面で受けに入らせたくなかった
――相手がパワープレーにきたときに、それに対していろんな選択肢を持っているのに動かなかった。それはどうしてか(大住良之/フリーランス)
パワープレー対策のプランはいくつかありました。ただ、基本的にいいボールを蹴らさない、しっかり競る、こぼれ球を拾うという原則、それとプラスしてファウルをしないということがありました。ファウルはしてしまいましたが、その原則をしっかりやっていたので、バランスを崩したくなかったというのが一番の要因です。それと、(デンマークの)あの選手たちに(日本の)ヘディングの強い選手を入れても勝てる保障がなかった。それだったら、周りでボールを拾っている、カバーリングしている状況で我慢した方がいいという判断でした。
――本田のMOMインタビューで、外国人記者が『なんでこんなに日本人はアグレッシブにプレーしたのか』と聞いていた。日本はすごくいい印象を世界に残した思うが(湯浅健二/フリーランス)
正直言いますと、まだまだいろんな意味で世界との差はあると思います。互角に攻め合ったら、うちの選手はそこそこやりますが、同じ数のチャンスを作ったら決定力の差でやられる可能性が大きい。それと中盤でのミスからカウンターを受けて決定的なピンチを作られると。オランダ戦も現実に、攻めにいったとき2回大ピンチを、カウンターで受けています。まずは、そういうところで結果を出すということから初めて、徐々に選手たちが自信をつけてきて、相手にもよるんですが、今日のデンマークに対しては、ひとつはそのメンタルの面で受けに入らせたくなかったということ。そしてやはりこれからチームがちょうど成長してきているところで、それを止めたくなかったということから、勇気を持ってリスクを犯して攻めに出ろという指示を与えました。
――岡田監督がグループリーグを突破して見えたものは
結果としてグループリーグを突破したというのはありますが、チームを見ていてこの3試合を通して、やはり世界の中でトップレベルと本気の試合がなかなかできない、W杯以外では親善試合しかできない。そういうなかで本気の相手とやったらどうなるだろうという手探りの状況が、実はこれくらいで、これくらいできるんだと、これ以上無理するとやっぱりやられるんだということを選手が肌で感じてつかみ出したことが非常に大きい。ボールをつないでいくのはわれわれの得意なところなんですが、中盤で手数をかけすぎると、どうしてもカウンターを受ける。そのへんのさじ加減といいますが、そのあたりの判断を選手ができるようになった。これは自信ができたということだと思います。そこが一番大きいと思います。
■中心となる選手の不調があった
――トマソンにかなり走られて追い切れずにピンチがあったが、対処方法について事前の情報をつかめていなかったのか。そのトマソンへの具体的な対処は(後藤健生/フリーランス)
いままで中盤を5人のゾーンで間を空けないようにして、縦パスを入れさせず、横パスをさせてプレッシャーを掛けるというスタンスだったのが、4人のゾーンにするとどうしても、うちの場合は幅を全部カバーできず、中盤とディフェンスラインの間でボールを受けられると。そして、トマソンが流れたときにカバーができないと。攻撃のときは違うんですが、守備のときは5枚の中盤というイメージにするとトマソンに付いていかなくても、ストッパーが付いていって、ボランチ1枚がディフェンスラインをカバーすると。ハーフタイムには、トマソンが流れたらストッパーが付いていけと、空いたところをボランチが1枚カバーするようにという指示を与えました。これは事前に情報収集していなかったわけではなくて、トマソンの動きも分かっていましたが、2人のボランチだとそれに対応できなかった。できるかなと思っていたんですが、難しかったというのが現実です。
――大会前に選手起用や戦い方が大幅に変わったが、それが今回の結果につながっているのか
今年に入ってから結果が出なかったとかいろいろなことがあるんですが、われわれがやろうとしているサッカーの中心となる選手の不調がJリーグを通しても、また代表で集まっても続いたと。戻るんじゃないかという期待を何人かの選手に対してしていたんですが、踏ん切りをつけないといけないというところがきて、起用法、システムを変えました。おそらくそれはW杯という重圧。日ごろ出ている選手の方がそういう傾向が強かったので、いろいろ話をしてみてもW杯の重圧みたいなものを感じたので、思い切ってここは決断しないといけないということで、システム、メンバーを変更しました。これはある意味、当たったとはいいますが、もしW杯の重圧とか不調がなければ、前のやり方でもいけたかもしれないと。これは分からないですが、自分の中では思っています。
■選手は自分たちで判断していた
――今日の1勝は岡田監督にとって忘れられない1勝になるか。今夜は勝利の余韻に浸るか
W杯の勝利はどれも忘れられない1勝です。ただ自分としてはカメルーン戦の1勝の方が、あの1勝がなかったら何もなかったと思うので、非常に印象深い1勝でした。今夜は余韻に浸るといっても、たぶんホテルに帰ったら深夜で遅くなるので、かなり疲れもあるので、すっと寝ると思います。
――3試合を通じて選手の力で驚いたこと、予想以上に選手が頑張ったところなどは
中心になっていた選手の調子が上がらなかったと言いましたが、戻ってきた選手もいますし、逆にそれ以外の選手が非常に調子を上げてくれた。プラス要素もたくさんありました。それは自分にとってものすごくラッキーというか幸せなことでした。それがなければ、いまはなかったと思っています。そういう選手たちがここまでできるんだという驚きもありますし、それとともに彼らが、例えば相手がパワープレーをしてきたときに、ベンチに向かって(阿部)勇樹を下げるのか、下げないのかということを尋ねてきたんですが、僕の指示は通らなかったです。声は聞こえなかったけど、彼らは自分たちで判断して相手が(前線)4枚になってきたら長谷部と(阿部の)2枚を下げて、自分たちで話し合って対応していた。これは素晴らしいことだなと。ここまでできるようになったんだということは、自分にとってうれしい驚きでした。
<了>
==ここまで==<リンク元>
何より嬉しかったのは、最後の質問に対する回答。
例えば相手がパワープレーをしてきたときに、ベンチに向かって(阿部)勇樹を下げるのか、下げないのかということを尋ねてきたんですが、僕の指示は通らなかったです。声は聞こえなかったけど、彼らは自分たちで判断して相手が(前線)4枚になってきたら長谷部と(阿部の)2枚を下げて、自分たちで話し合って対応していた。これは素晴らしいことだなと。ここまでできるようになったんだということは、自分にとってうれしい驚きでした。
これが出来る組織は、どんな状況になっても、思考を止めず、自分たちの力で考えて意思統一が図れると思う。こういうチームこそが、本当に勝利に値するチームであると思う。
これは長谷部のキャプテンシーとも関係あると思う。
それも、嬉しい。
まぁ全ては田嶋さんやその話を聞くきっかけになった、ken(@footy_ken)さんの影響ですが^^;
ご両名ありがとうございます!
いやぁ、岡田監督からこういう言葉が聞けて、本当に嬉しい。
さぁ、同じような場面がパラグアイ戦で起こったとき、彼らはどう対処するでしょうか。
楽しみにしましょう。