暖炉の傍に足を曲げてカウチにあげた姿で本を読んでいたレアが見つかった。
燭台を持ったハンスが足を引きずって真っ暗な段階からゆっくりと降りてきた。
"大丈夫?上の部屋が寒いの?"
青いブランケットに包まれたレアがおずおずと彼に聞く。
"いや。あの。。つまらないんだ"
低い声で返事したハンスは段階の前に止まった。
その後無言の空気が流れていた。
少し恥ずかしい顔でレアが視線を逸らした。
"うん。。まー。。寒いならそっちに座りなさい"
カウチの直角に置いたカウチチェアを指したレアが慌てる気持ちを抑えて言いた。
ハンスは指示を受けたように暖炉の前を通して徐々にカウチチェアに目指した。
彼の上着に付けた襟章は暖炉の光で銀色に輝いている。
レアは襟章にある二つの稲妻を見て、突然に息苦しくなって手が不自然に震え始めた。
"おい。大丈夫か"
チェアに座ったハンスがそれを気づき、少し柔らかな口ぶりで言う。
"うん。。大丈夫"
正気を取り戻そうとするようにレアが穏やかに言う。
首を下げて目の前の本に集中するつまりだったが、どうしでも文字が頭に入ってこない彼女は、両親のことを思い浮かべた。
同じく稲妻の襟章を付けた、背の高く、表情の固い金髪の男が家の戸口に立っていたことも。
お父さんにびんたをしたことも。
血がお父さんの口角からどくどくと流れてきたことも。