【児童サービス論 '25-'26】
✮2025/10/1(提出) → 2025/10/24(再提出) → 2025/11/17(合格)【設題】最寄りの公共図書館を1つ選んで訪問・調査し、テキストの記述を踏まえた上で児童サービス全般における資料の現状と課題について述べなさい。1 はじめに 読書活動は、子供が言葉を学び、感性を磨き、人生を豊かなものにしていく上で欠くことのできないものであり、生涯にわたる様々な学びの土台を形成する。 本論では、〇〇市立図書館を対象に、館全体における児童資料の位置付け、児童資料の種類ごとの量的質的状況、YA資料や多文化資料など特殊資料群の整備状況、〇〇市の子どもたちの生活環境との関連を調査し、そこから見える課題を整理した上で、それぞれについて図書館のコレクションとしてどうあるべきかを考察していく。(1) 図書館全体における児童資料の位置付け 館内には広い児童コーナーが設けられ、家族連れや幼児の利用が多く見られた。児童資料は単なる一部門ではなく、地域の子どもの学びと成長を支える場所として位置付けられているといえる。(2) 児童資料の種類別・量的・質的状況 児童資料は、絵本、読み物、図鑑、紙芝居、学習マンガ、視聴覚資料など多様に整備されており、特に絵本の充実が目立っていた。 絵本は、国内外の名作に加え、運動会や防災など、季節やテーマに応じた特設展示も行われていた。 図鑑や学習マンガについては、小学生の調べ学習や宿題に使える資料が整備されており、ビジュアル中心の資料も豊富に配架されていた。 紙芝居は、おはなし会などで活用されているが、所蔵数は限られていた。 視聴覚資料は教育系や読み聞かせDVDなどが揃う一方、外国語や多文化に関連した内容は少なく、テーマの偏りが課題である。 全体として、基礎的な分野は整っているが、情報の新しさや多文化資料の不足さが課題であるといえる。(3) 特殊資料群の現状と課題 一般的な児童書に加え、YA資料、多文化資料、特別なニーズのための資料、逐次刊行物、視聴覚資料、子供に関わる大人向け資料なども整備されていた。 YA資料については、中高生向けのコーナーが設けられており、進路や人間関係、自己理解など有の本が揃っている一方で、最新の電子書籍やデジタル教材など、YA世代が能動的に学びや情報収集に活用できる資料はまだ限定的なため、それを取り入れることで、デジタル資料の充実とYA世代の自主的な読書活動をより一層促進できると考えられる。 多文化資料は英語絵本がわずかにあるのみで、他言語資料はほとんど整備されていない。外国人の増加を踏まえ、二言語絵本や多文化共生をテーマとする資料の充実が必要である。 特別なニーズに対応する資料は、大きな文字絵本や本などが一部ある程度で、視覚・発達面での支援には不十分である。点字付き図書や音声読み上げ資料の導入、教育機関と連携した書籍・教材の充実が課題である。 逐次刊行物は、雑誌などの定期刊行物が整備されており、児童の興味や学びを広げる役割を担っている。 子どもに関わる大人向け資料については、教育・子育て関連書コーナーがあり、保護者や教育者が子どもを支援するための知識を得ることができる。 このように、〇〇市立図書館の特殊資料群は一定の整備がみられるものの、多文化・特別支援・デジタルといった現代的ニーズに対応しきれていない現状が明らかとなった。(4) 地域の子供の生活環境との関係 〇〇市は〇〇で学習資源が限られているため、図書館は子供の学びと文化に触れる重要な場となっている。近年は外国人労働者が過去最高を記録し(注1)、共働き世帯も年々増え(注2)、異文化や様々な家庭環境の子供も増えている。こうした環境において、児童資料は読書支援だけでなく、学ぶ機会の公平性担う重要な役割であるため、地域に応じた幅広いコレクション形成が求められる。(5) 課題と今後の方向性 調査を踏まえ、〇〇市立図書館の児童資料にはいくつかの課題がある。まず、多文化・特別支援・デジタル資料は、現状の整備が十分とは言えず、様々なニーズへの対応が不十分である。次に、YA資料はコーナーがあるが、最新情報の反映が限られ、内容の充実と定期更新が求められる。 これらの課題を解決するためには、定期的な蔵書の更新、多言語資料の導入、ユニバーサルデザイン資料などの多様化が不可欠である。また、学校や福祉機関と連携し、子供たちの学びや生活に合った環境づくりを進めることが望ましいと考える。調査対象:〇〇市立図書館所 在 地:〇〇県〇〇市調査日時:R7年〇〇月〇〇日 午後〇〇時〇〇分頃調査方法:現地訪問・閲覧など3 おわりに 調査を通して、〇〇市立図書館は児童資料の量的充実を果たしている一方で、質的多様性の面で課題を抱えていることが明らかとなった。特に、外国語資料・電子資料・特別支援児向け資料の整備は今後の重点課題である。 図書館は全ての子供に利用しやすく、気軽に本に触れられるコレクション形成が求められる。〇〇の特性を生かし、子供の成長を支える図書館として今後の発展が期待される。【参考文献】(注1)厚生労働省,"「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)",2024-1,https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_50256.html,(参照2025-10-27)(注2)厚生労働省,”図表1-1-3 共働き等世帯数の年次推移,2021,https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/20/backdata/1-1-3.html,(参照2025-10-27)このレポートは、私が近畿大学司書コースの課題として執筆したものです。他の受講生の参考になればと思い公開していますので、あくまで一例としてご参考ください。無断転載・転用・二次利用はご遠慮ください。※