『あの方は戻る』と 確信しつつも、それがいつになるのか 自分がそれまで天門前で待つことが叶うのか 悩みながら、それでも待つことを止められなかったあの日から、随分と時が流れた。
待ち続けたひとは戻り、夫婦となることができ、自分には無縁と思っていた子宝にも恵まれ、そして巣立っていった。
とうに 老齢と言われる年齢となったのだが、それでも 完全に隠居することは叶わず、何事かあれば必ず皇宮へと呼ばれる日々ではある。
だが チェ・ヨンは 徐々にその出仕を渋るようになっていた。
・・・愛妻である ユ・ウンスの体調が徐々におもわしくなくなっているからである。
「貴方、本当に出仕しなくていいの? 何度も呼び出しがかかっているじゃない」
「・・・今日は腹の調子がすぐれぬ」
「もう。 昨日は熱があるとか言って、今日はお腹なの? 私以上に体調不良ね?」
「・・・俺の主治医が 診てくれぬからな」
何人もの弟子を育て、『私以上の医師だわ』と太鼓判を押された者もいたが、チェ・ヨンの主治医は『医仙』である ユ・ウンスのみである。
彼女はとうに一線を退いており 今や彼女が患者の立場に他ならないのだが、彼女の夫は妻以外の主治医を持つ気はないようだった。
「王様だって 困ってらっしゃるわよ?」
「・・・いい加減 自立なさってもよい頃だ。いつまでも老いぼれを頼るべきではない」
チェ・ヨンが主として仕えたコンミン王は すでに亡くなっており、その子の代へと移っている。
ウンスが知る未来では 後に王座を奪うイ・ソンゲにより 正当な王であることを否定されてしまうのだが、現在は王としてやや頼りなさはあるのだが なんとかやっている、という状態である。
ウンスとしても 体調に不安があるため、夫チェ・ヨンに遠征になど行ってほしくないのは間違いないため、身体に不安がって呼び出しに応じないというのは 責められないのだが。
「・・・困ったひとだわ」
ふぅ、と呆れたような息を吐くと チェ・ヨンもホッとしたように 小さく息を吐く。
ウンスの体調が思わしくないから出仕も遠征もしたくはない、という本音を出さずにウンスを説得できたことに対する安堵なのだろう。
・・・そんな風に 少しづつ違和感がありつつも 二人の日々は流れていった。
「・・・ずっと 思っておったのだが」
「なぁに?」
「・・・イムジャは 『時の神』を呼び出したいと思うか?」
「えええ? あのエロ神!??」
ある日のこと やや思い詰めた様子のチェ・ヨンが、少し体調が良くて床から起き出して縁側から庭を眺めているウンスに そう問うた。
ウンスは 思ってもいなかった懐かしい名前に 素っ頓狂な声を上げる。
エロ神こと『時の神』は 愛を信じて試練に打ち勝った二人を気に入ったらしく、有難迷惑なときもあるが 二人の助力をしてくれた神である。
「何で『時の神』!?」
「・・・ずっと考えていた。 イムジャの体調は 天界ならば、と・・・」
あの 鉄の馬車が鳥のように空を飛び、天まで屋敷がそびえたっていた あの世界ならば。
高麗最高医である『医仙』である彼女自身の病も 診れる医師がいるのではないか、と。
「天界ねぇ。 確かに私より優秀な医師は見つかるでしょうけど、天界の医師だって万能じゃないのよ? 命を少しだけ伸ばすことはできても それだけだわ。 不老不死なんて不可能だもの」
「・・・だが」
「それに 貴方がこんなに言い渋っていたということは、貴方は私一人を天界に向かわせて自分は残る気でいたんでしょう? そんなの嫌よ! 今さら離れ離れなんて」
「しかし イムジャ」
「嫌って言ったら嫌」
「・・・そうか・・・」
チェ・ヨンもウンスと離れたい訳ではない。
だが 少しでもウンスの命が長らえるならば、と思ったのだろう。
しかし ウンスは当然のように それを拒否した。
「あとどれくらいの時間が残されているかなんて分からない。 でも 一緒にいてくれるでしょう?」
「勿論だ」
チェ・ヨンは高麗ですら生きづらいほどに真っすぐな人間であり、天界には馴染めないのは分かり切っていた。
ならば ウンスも『最期まで高麗にいる』と言う。
懸命に生きたことで ウンスの知る『歴史』通りではないとはいえ、これ以上は変えられないだろう。
チェ・ヨンの夫人がいつまで生きるかなんて 歴史学者ではないウンスには分からないが、それいいと心から思う。
二人の下した決断を応援するかのように 懐かしい『オーホッホッホッ』という笑い声が 聞こえたような気がした・・・。
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時の神『わしの出番は?』
しかも 最晩年の暗い話だな![]()
てんてんmamaさんの七回忌に合わせてお話を、というでんべさんの記事を読んだの十日前(記事自体は二か月前のもの)
間に合うのか? 最近文章かいてないぞ?
しかも てんてんさんのお話は好きだけどオイラと全く文体違うぞ?
時の神=エロ仙人だとしか覚えていないが 読みに行く時間がない。
話を考え(当初はちゃんとエロ仙人出てきてました) 書き始めたのが7月5日夜。(書きおわったのもな!)
でんべさんに 参加表明するべきかとも思ったけど エロ仙人出てないし(爆)![]()
こそっとUPしておきます。![]()
てんてんmamaさん
でんべさんとは電話する仲だったと聞いてましたが、アメーバピグでお会いしてた感じではわりと寡黙な感じでした(をい)。
多分チャット慣れしてたオイラが(オンラインゲーマーだったのでゲームしながら文字打ってたから) 人見知りの彼女に一人でまくしたててたんだろうな・・・。![]()
お住まいの関西と 長女さんの住む関東を行き来したりして大変、というお話を伺っていたところに 突然の訃報で 涙が止まらなかったのを覚えています・・・。
もう七年かぁ(七回忌が丸六年なのは知ってるZE☆)
最近はドラマを見ることもなくなっていて ぼんやりとした日々を送っていますが、久々に締め切りに追われました・・・。
これでてんてんmamaさんのお話を読みに行けるかな?
(いや~更新マメですごくあるよね! ブログを残してくださった画伯にも感謝!)
最近は 時の神といえば ドレッファングーアだった Pandoriaでした。