今日を最後に、勤めていた大切な会社を辞めてしまいました。

今年40歳と言う、いわば人生の折り返し地点に立ち、足を止めて自分と周囲を冷静に見渡した時、このまま今の船に乗って、人生の後半も同じ波に流されて行ってよいものか…とても悩みました。

これまでも、人生を10年単位で見て来たところがあり、40歳はずっと前から私にとって大きなターニングポイントでありました。それを意識するにつれ、もしこの先違う航路の船に乗り換えるなら、例えどこに辿り着けるか分からなくても、それが手漕ぎの小さな舟であっても、もう今しか漕ぎ出すタイミングは無いんじゃないか?…と考えるようになり、その思いは日に日に大きくなりました。

それまで乗っていた船に不満があったわけではありません。寧ろとても居心地の良い、ある意味安定した船で、大切な仲間も居て、このまま乗っていられるならずっと乗って定年まで歳を重ねて行きたい気持ちも勿論ありました。

結局のところ、私はその船に慣れ、傍らにチャレンジすべきことを置き去りにしながら、見て見ぬ振りをして、日々をやり過ごしている未熟な自分自身に飽き飽きしていたところがあったのだと思います。

更に人生はそう長くはありません。いつまで元気に生きられるのか、家族も自分も、未来には限りがあること。また、いつかいつかと思っていたいつかは待っていても来ないのだと言うことを、切に感じるようになって来ました。

そんな中、ちょうど年齢的な大きな節目と、家族や大切な人との関係性の変化が様々折り重なり、私は勇気を出して人生を大きくシフトすることを決めました。

愛すべき船を降り、小舟に乗り換え、櫂を握りしめて遠く知らない海へ漕ぎ出したのです。
…と書くと余りに大げさですが、普通はもっと若い内にそうしたことをやっている人がほとんどです。
大人になって人生を変えると言うのは、それがごく普通の生活であっても、とてもエネルギーの要ることで、それはまさに私にとって冒険の旅でした。

岐路に立つと、今まで感じることのなかった様々な風に煽られ、今まで見えなかったいろんな景色が見えて来ます。
先のことは分かりませんが、私はこのささやかな冒険で味わう日々の恵みを、記録してみようと思い立ちました。