「聞く」ということは、目の前の現実を一生懸命に生きること~小説「あん」を読んで感じた事 | パンダすみこのアラフォー知識ゼロから始めるお金の勉強のはなし★

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ドリアン助川の小説「あん」


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どら焼き屋で働く千太郎と、老女徳江の交流を描いた小説。


過去の過ちを引きずり、なんの思い入れもなく、


ただ金のためだけにどら焼きを焼いていた男が


老女と出会い、おいしいどら焼きを作りたいと思いはじめ


どら焼きに執着していく・・・



この小説の軸になっているのが「聞く」という言葉。



ここで言う「聞く」とは、ただ流れてくる音を聞くことではない。


さまざまなものに耳を澄ませること。



鳥、虫、木々、草花、風、雨、光、お月さま。


そしてあずきにも、自分の心の声も。



それは、さらりとした「聞く」ではなく、深く深く「聴く」こと。



そうやって、身の回りのものたちの声に耳を澄ませ、


感じ取ろうとする姿勢を大切にすること、


その聞こうとする努力が大切だと、


徳江は言っている。



「私たちはこの世を観るために、聞くために、生まれてきた。


この世はただそれだけを望んでいた。


だとすれば、教師になれずとも、勤め人になれずとも、


この世に生まれてきた意味はある。」



つらい境遇を背負い


時には生きることに絶望した徳江だからこそ


たどり着いた境地。



私たちは、何者かになるために生まれてくるのではなく


ただそこに存在するために生まれてくるのだと。


私の目の前にある世界を存在させるために、


生まれてくるのだと。


どんな境遇の人間でも、役に立っても立たなくても、


生まれてくる意味はあるのだと。



だから、


耳を澄ませて、一生懸命、聞くのだ。


目を見開いて、一生懸命、観るのだ。


そうして、目の前に起こる出来事を、味わうのだ。




私はちゃんと聞けてるだろうか?


味わえているだろうか?


日々を大切に、一瞬一瞬を丁寧に、生きられているだろうか。


そんなことを考えさせられる本。



良書です。泣きます。


そしてきっと、読み終わったら、


無性に美味しいあんこが食べたくなります。笑



なんかちょっと疲れちゃったなーという人に、おすすめ。



「あん」 ドリアン助川