今回は番外編。
25歳で大学進学し、大学生活は充実していたが、
プライベートまではうまくいかなかった。
ある日のこと、
母が以前勤めていたバス会社の飲み会に
私は参加した。
幼い頃からよく会っていた人たちだった。
母の先輩や後輩たちは、口々に
「やっとやりたいこと見つかってよかったね。」
「高卒認定取ったのすごいね。」
「大学受かったなんて頑張ったね。」
と私に言ってくれた。
私は照れ臭かったが、
私が生まれる前から
母との付き合いのある人たち。
私が物心つく前から出会った人たち。
人に認められたことが数少ない私は
嬉しかった。
しかし、その時、
その場が一瞬で凍りつくことが起きた。
「この子は何も頑張ってない。
お金を稼いだ私が
頑張ったんだよ。」
母はそう言った。
謙遜なんてレベルじゃない。
私は深く傷ついた。
その場はなんでもない顔をしたが、
気分は晴れなかった。
せっかく頑張ったのに。
高校を辞めてから10年間もがき苦しんだ。
たしかに親にはたくさん迷惑をかけた。
予備校代や、生活費、
大学に行くまでのお金などは
全て親に出してもらった。
(大学の学費は奨学金だが、多くは母が出してくれた。)
母子家庭で女で一つで家族を養っている所に、
急に「高卒認定を取る」と言い出したのは
紛れもなく私。
だからお金を出してくれたことには
感謝している。
だが、言っていいことと悪いことがある。
次の日、家にいる母に私はキレた。
何度話しても伝わらなかった。
だから、暴れた。
人生で初めて頑張ったことであり、
初めてやり遂げたことだった。
それを否定されて、
「頑張ってない」と言われて、
悔しかった。悲しかった。
私は母に土下座をさせた。
土下座をさせたところで
私の気は晴れなかったが、
私は母にわかってほしかった。
認めてほしかった。
私は昔から母からの愛情に飢えていた。
どうしようもない娘だった。
でも、今回ばかりは認めてほしかった。