もうすぐ3月ですね。
早いなぁ。
時の経つのって、本当に早い。
なんてしみじみ思っていた昨今、庭師さんと母親の会話を聞いて、思わず笑ってしまうことがありましたよ。
我が家を建て直して早くも15年が経つのですが、その際に我が家の庭の主人公的な存在である大きな松も、以前の場所から今の場所に移されました。
それから何度となく庭師さんが入っているわけなんだけれど、何故だかこの松の或る枝を切る様子が一向にないのです。
そんなわけで、その枝は、どんどんどんどんと伸びております。
ひょろひょろ~っとね
(意外と見た目に邪魔)
時には雨に濡れ、或いは雪が降り積もり、その重みで地面にペッタリ着いてしまうこともあって、これはもう折れてしまうのではないかと、その度に心配の種になっておりました。
職人さんにお任せしている事なので、そこに口を出すのも野暮だとは思っていたのですが、ついについに、母親が庭師さんに思い切って聞いたのです。
「この枝って、いつ切るの?」と。
すると……
「そうだね~、奥さん(←母親)が亡くなる前には切れるかね~(笑」
とな!!!
(ちなみに、母親と庭師の頭領は同世代。)
何ていう時間のかかる作業を一般家庭の庭先でやってくれてるんだと、思わず「えぇー!」と声に出して驚き、もう笑ってしまいましたよ。
(切っても切らなくても毎年毎シーズン勝手にお世話になってるから、金銭的なものではない。)
てか、誰が完成形を見られるのか……。
そして、この家が空き家になったらどうするのか…。
そんな事を母親が言ったらば、
「その時は、うちでこの松を買い取らせてもらってもいい?」
ということだが。
(いやまて、その時に頭領は生きているのか?)
なんだか、えらく壮大な事に巻き込まれちゃった松さん。
それ以来、この松が正面で見える座敷の雨戸を開け閉めする度に、思わずニヤニヤと笑っておりますよ。
とはいえ、この松にとっては、10年、20年なんて、本当に大したことのない時間なんだろうな。
庭の主と云えば、その10年とか20年の間、尻尾のような枝を引き摺っている姿を見守る羽目になるとは……。
この松にしてあげられることは、美しく造り上げられるその日まで、ゆったりと見守る事なのかな。
奥の深い世界を、意外と身近に感じた瞬間でしたよ。