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明日の道の続きへ

20130320開始

日々思うことや、
閃いた物語とか、創作シナリオ、
映画などの感想を書いております。

不定期更新で
めったに写真等もない
最近のブログ事情に合わないブログですが、

気が向いたら
立ち読みしていって下さい。

『消えない過去、消したくない過去』

私には忘れたくても忘れられない記憶がある。

それはまだ私が20代の半ばの頃、
ある犯罪に巻き込まれ、危害を加えられた。

その時の犯人の目つき、声、苦痛、その時見えた景色、周りの人の哀れんだ表情が記憶にへばり付いている。

その時の私は
『消え入りたい。自分の存在を消したい』
としか思えなかった。

私は何度もそれを実行に移し、未遂に終わっていた。

カウンセリングも受けさせられていたが、
あまり効果は無かった。

ある日、真夜中に家族の目を盗み、人気のない公園に行った。

またあの記憶が蘇り、当時の私にさせた。
『消え入りたい』
その衝動に駆られたから…

私はその衝動に身を任せた。

やっとあの記憶から解放される…

薄れていく意識の中、私は達成感を感じていた

………………

『おい、大丈夫か?』

誰かの声が聞こえて来た…

『しっかりしろ!』

男の声…でも、あの忌々しい記憶の声じゃない…

あ…バカやろう!

手首の傷口を見たのだろう。
父にしか言われた事のない言葉を浴びせられ少し悔しく思えて

バカじゃない…

と口にして、ひとをバカ呼ばわりする男の顔を観たくなり、何とか目を開けた

『こんな事するヤツはバカだ!大バカだ!!』

その人は真剣な目つきで私を見つめていた。

多分、同い年くらいかな?

その人の瞳に優しさを感じた

最後にいいことあった…

私は再び目を閉じ、大きく息を吐いた

な…ンチクショウ!!

私は宙に浮いた様な感覚を最後に、意識が途切れた。


…………………

あの目、あの声、あの光景……

消え入りたい
消え入りたい…
消え入りたい……

『バカやろう!』

あの優しい瞳の持ち主に
私は消え入る寸前で呼び戻された…

目を覚ました私の視界に家族の顔があった。

あの人は?

あの人の姿は何処にもなかった。

あの人は私を病院に担ぎ込んだ後、名前も言わずに出て行ったそうだ。



あの人は天使だったのかも……

私にはそう思えてならなかった。

口は悪いけどね



それから数年たち、
何とか社会復帰して生活も安定してきた

時折垣間見る忌々しい記憶もあの人の
『バカやろう!』
で直ぐに吹き飛ばせる術を身につけて
少しだけ私は強く成っていた。

もし、あの人に再会するときに
恥ずかしくない私で居たい、
ちゃんと御礼をしたい。

『もうバカやろうじゃないです』

って、胸を張って言える私で居たい。

それが生きる目的になった……

 

こうして、私の消したい過去は
消したくない……

いいえ

忘れてはいけない過去になった。





おわり