もっと!フランス珍道中 -4ページ目

一期一会の逆

今日、ある人と話しました。

「こないだ買った’78 Calon Segurおいしくなかったわ。」から始まりました。

どうおいしくなかったのか、気になって聞いたら

「う~ん、おいしくなかったからなぁ・・・」と。

オークションで入手したと思われるそのワイン。

「おいしくない理由」ってなんでしょう?

保管状態による劣化(といっても色々あるけど)

保管状態以外の原因による劣化。もありますけど・・・それは「劣化」

開けられたワインは澱は沈んでおらず、状態は不安定。

そんな「本来の姿」を閉じ込めてしまった状態で

売り手から渡って来たばかりの' 78を3日後には飲んでしまったのです

本来のポテンシャルを発揮できない状態で飲まれてしまい

最終的な判断が「おいしくない」・・・。

このワインは、そんな言葉をかけられるために33年間も存在したのではないはず。

造った人も、そのワインが「おいしい」と言って飲まれる事を望んだはず。

でも最後は「おいしくない」だった。

ワインが飲まれる瞬間というのは、「ワインの終わり」です。

誰かの人生を変えてしまうくらいの感動を得る事もあるのに・・・。

すごく悲しかった。


「食」

9日が経ちました。

一昨日の夜おこしだった、よく来てくださる日本人とフランス人のご夫妻。

日本人の奥様とお話ししましたが、色々心配だし、食事になんて出かけていいのか悩んだ、と。

そういう事も自粛すべきなんじゃないのかなと思ったとおっしゃられてました。

でも沈んでいるのも・・・ということで来てくださったそうです。

結果的には来てよかった、と。

人がいるところで、楽しくおいしく過ごすという事は大事だとおっしゃられていました。

わたしも、こんな時に自分が無事だからといって外食って・・・と思っていたのですが

むしろ元気な人間は元気にしているべきで、ましてやわたしはレストランで働く身。

仕事を持っている人間は、それを「経済」に形を変えなくてはいけません。

循環が必要です。

レストランという場所は、おいしいものを食べて、飲んで楽しく過ごすための場所。

そういう場所にこそ活気が必要なのではないかと思います。

とにかくおいしいものを、おいしいワインを、そして楽しい空間を。

大切な人と、そういう空間を共有できると、びっくりするくらい元気になります。

わたし自身も、そういった事を経験した事がありますし

知っているからこそ、自分のお店もそういった空間になるように努力し

来てくださるお客様に、ただ楽しんでもらうだけでなく

元気に、「人」が「良く」なる空間にできるようにがんばっていきたいと思います。

それが今レストランで働く人間がやるべき事なのではないか、と思います。

そして募金!

パリにて

今日、秋田からお越しの日本人のお客様がいらっしゃいました。

ほんの少しの時間でしたがお話しさせていただきました。

やはり被災されたとの事で大変なようでした。

「実家はどちらなの?」と気にしてくださって

「神戸です」と答えると

「じゃあ被災されたのね。今、神戸の方、すごくがんばってくださってるのよ」

「恩返しがしたいってみなさん言ってくださるの」とお話ししてくださいました。

泣きそうになりました。

わたし自身もそうですから。

でもパリにいて、何もできなくて歯がゆい毎日。

でもやっぱ神戸すげーなって思いました。

そしてその神戸にあるパワーは、16年前日本全国から受け取ったものなのです。

今は、日本という国そのものがひとつの大きなちからになっているんだろうな、と思いました。

わたしはそのお客様に「がんばってください」は言いませんでした。

だって一緒にがんばるんだから!