初めて読んだのは一カ月前位ですかね?

すごく素敵な世界観と優しさにあふれる文章でした。

正直、この感動を上手く書ける自信がないので言葉足らずになると思いますが・・

 

主人公の男の子「人生」が引きこもっている様子が10ページ位続きます。この様子がまた痛いほど理解できる。私も結婚して子供がいなければ似たような暮らしをしていたのではないかと思います。休みの日は家にずっといたいし、パソコン携帯あれば一日中楽しめる。ごはんも何でもいいし、プライベートの友達も数人で数カ月に一回会う程度。コロナ禍で家にいた時も全然苦ではありませんでした。夫が超アウトドアなのでかろうじて外出できている・・といった感じです。

 

「人生」が引きこもりのきっかけとなったいじめの回想シーンの描写も淡々と書いてありましたが、弱き者を細く長くいじめる事を楽しむ人間の狡さがもう怖い。結局数年引きこもる事に。しかしそんな日常もお母さんの置手紙をきっかけに終了です。

 

祖母宅に行きそこで働きながら暮らす「人生」。そこから「人生」の人生がV字回復していきます。地域の方の助けや一人の女の子の登場、何よりマーサおばあちゃんの人柄が温かく物語そのものを包み込んでくれています。そんな中、おばあちゃんが間違えて人生の携帯を川に落とすシーンがあります。それに対し思わず「怒り」がこみ上げ責めそうになった「人生」。この場面も好きです。自分を受け入れてくれた優しい人に沸いた怒りの感情。それに対する「人生」の良心の呵責が何とも人間らしくて良いなと思いました。

 

マーサおばあちゃんの目指す「自然の畑」その畑で稲作仕事を手伝いながら自然と向き合い、自分と向き合い、周りの人と向き合いながら生きていく「人生」が頼もしいおねがいおねがい

 

私の知り合いにも同じように稲作で生計を立てている方がいます。この方も人間性が素晴らしくて・・空をみて土をみて風をみて雨をみることができる人でした。この本を読むと頭の中にその方と田んぼの光景がばーーっと広がります。

 

また物語の中で梅干しがでてくるのですがこの梅干しも物語の重要な存在でしたね。最初から最後まで一気に読めてハラハラしたり涙したり・・優しい人たちと優しい言葉で紡がれた世界と繋がることができた時間でした。

 

読んだ後に流れた曲は、加山雄三「海 その愛」です。グラサン

また良いんですよ。この曲。

年取るたびに良さが染みますおねがいおねがいおねがい

ぜひ読んでぜひ聴いてください。

原田マハ 生きるぼくら