我が家の庭には水仙の花が3年ぶりに咲きました。
6年前ー
長女が長い中学受験の戦いを無事に終え、
合格発表の喜びも冷めない数日後のこと。
軽い足取りで制服採寸に向かう道に、
水仙の花がたくさん咲いてとても良い香りを漂わせていました。
まだ幼稚園生だった末っ子の手を引いて歩きながら、良い香りだね〜と言うと、
しゃがみ込んで水仙を覗き込む末っ子と、
「早く行こうよ」と急かす長女。
そんな姿が懐かしく目に浮かびます。
あの日、
制服のシャツ、ジャケット、スカート、セーター、体操着、靴…
着たり脱いだりを繰り返すうちに、
次第に長女は不機嫌モードに。
何に不機嫌なのか。
何に怒ってるのか。
話しかけても返事はなく、採寸を終えるなり学校を飛び出してしまいました。
末っ子の手を掴んで息を切らして追いかけましたが、私たちを振り切るように人混みに消えてしまいまいました。
何度電話をかけても出てくれず、怒りが込み上げました。
不慣れな東京で、無事に電車を乗り継いで帰れるのだろうか?
次第に怒りは心配へと変わっていきました。
この日は夕方にサピックスで最後の集まりがありました。
校舎に連絡を入れると、
長女は無事到着しお別れ会に参加しているとのこと…
ホッと胸を撫で下ろしました。
長女は幼い頃からこういった事がよくありました。
とても気難しい。
どうしたの?
と聞いても大抵何も答えてくれません。
なかなか自分の心を開示してくれないのです。
信頼関係が築けなかったのかと悲しい気持ちになることもありました。
でもようやく気付いたのです。
長女はきっと『意味のないやり取り』を避ける子なのだと。
話す価値があるのか。
新しい視点が返ってくるのか。
自分の気持ちが尊重されるのか。
そんなことを無意識に厳しく選別しているのかもしれない…
そう考えると全てが腹落ちしたのです。
どんなに愛情を注いでもなかなか彼女と感情が交わらない感覚の原因が少しずつ分かってきたような気がしました。
私は長女の見えている範囲でしか対応できなかったから。
もしかしたら彼女にとっては十分では無かったかもしれない。
それから3年後。
園芸店で末っ子が水仙の鉢を手に持って来ました。
「ママ、香りのする水仙見つけたよ!
ママが気に入ってたでしょ?」って。
末っ子はあの日のことを覚えてくれてたのです。
早速庭に植えたのがこの水仙です。
先日、2年も眠ってようやく花が咲きました。
ちゃんと生きていました。
この春、長女は大学生になります。
決して偏差値の高い大学ではありません。
長女が自分で探し、オープンキャンパスに足を運び、受験して合格をいただいた大学です。
大学でも専門でも就職でも良かった。
国公立や難関大に行って欲しい
そんな期待や願望は全くありませんでした。
彼女が自分の意思で進路を決める事。
それが私にとっていちばん大切なことで、
いちばん守りたかったことだからです。
この春、庭に静かに水栓が咲いたように
彼女もまた自分の春を迎えます。