21世紀の幕開けとともに日本で出版された「話を聞かない男、地図が読めない女」は、今でも私のバイブルのひとつである。
いくら日本国憲法の元で男女平等と叫んでも、ラ・マルセイエーズとともに自由・平等・博愛と謳っても、男と女の脳はちがう。
もちろん個体差はあるが、基本的にDNAのレベルで男と女は作りが違う。その事実を認めずに、自分のモノサシを相手に押し付けるのが、マチガイの始まりである。
だからお互い、「ちがう」ということをまず認め合おうね。
…これが、あの本の趣旨である。

 

本曰く、地図を読む能力=空間認識能力は、原始時代から野山を駆け廻ってマンモスを追い、住む洞穴から遠く離れても獲物を引きずってとにかく帰り着くことで、オトコたちが脈々と培ってきたものだ。
その間ずっと洞穴にいて、口のきけない乳飲み子の気持ちを表情や動作から読み取って子育てし、年長の女性から生活の知恵を学ぶオンナたちは、空間能力の代りに(言語的・非言語的)コミュニケーション能力を習得した。
一方、オトコが狩りの最中にぺちゃくちゃおしゃべりするなんて、ありえない話である。チームで協力する場合も、目と目で合図(野球のサインみたいですね)、「オレはこっちから攻めるから、オマエはあっちに行け」と、阿吽の呼吸と言えば聞こえはいいが、つまり言語能力が発達しようがない。
だから、「地図を読めない女」であり、「話を聞けない男」なのである。

 

というわけで、現代。
女性の社会進出(って言葉、もうなんか古い響きですね)がどんどん進んで、多くの職場で女性が采配をふるう姿も珍しくなくなってきたものの、やはり圧倒的に男社会、の職場は厳然として存在する。
それは社長が偏狭なためではなく、その仕事に必要なスキルが男性的DNAに依存しているからなのだ。
「地図が読めない」のは致命的なタクシー運転手の女性比率は2.3%。加えて荷物を運ぶ腕力も必要とされるトラック運転手、2.4%。乗用車よりよほどデカい車体をしょっちゅう縦列駐車しないといけないバスの運転手は1.4%(以上、
国土交通省資料より)。ね?

 

地上を走る乗り物よりももっと高度な、文字通り3Dの空間能力が求められるのが、パイロット。かの本によれば、カンタス航空の女性パイロット比率は0.4%、アンセットは0.1%(1999年のデータだから、今はもっと増えていると思うが)。
しかも、タクシーやバスとちがって、操縦ミスした場合に犠牲になりうる人命の数は桁が変わる。空間能力の高さがすごく重大なのだ。

 

ところが、パイロットとして長い経歴を持つA氏が、不審な言葉をつぶやくのを耳にした。
「パイロットが必要とされているのは、女脳かもしれません」
ホントか?! 


というわけで、突撃インタビュー。

A氏の話は、男脳・女脳の観点からのみならず、とても、誠に、非常に、面白いものだった。

 

・・・その2に続く