ふと見上げた先に広がる
沈みゆく日を背に浴びた淡いグレーのビルの群れ
何かを隠すために
ところどころありあわせのかけらで埋め合わせたような
まだらな雲の陰影は
どこか不自然な距離感を見せていた
まるで
前方にどこまでも広がる建物や木や車や電柱や
すべてのものが中身のない作り物で
模型として広がる上に
それを眺めている誰かや
ほんとうの空が広がっているようだった
あの光の当たっている雲の上面には
こちらからは決して見えない何かが息づいているような気配を感じた
それが何であれ
模型の中の平べったい道路の端っこで
ぼんやりと無限の広がりを見上げているだけの私には知る術もなく
ただ悪戯に想いを廻らせるだけなのだけれど
いくら頑張って奇抜な方向へ踏みはずそうと試みたところで
結局誰かの思い付きをなぞっているだけのような
斬新性のなさに考えるのをあきらめるのだった