2021年の中央競馬の下半期最初のGⅠはスプリンターズステークス。同日日本時間の夜には凱旋門賞が行われ、日本馬はクロノジェネシスとディープボンドが参戦し武豊騎手はアイルランドのブルームに騎乗予定と目が離せない一日になりそう。
過去10年のスプリンターズSの優勝馬の種牡馬は次のとおり。
11年 クロフネ
12年 キングカメハメハ
13年 キングカメハメハ
14年 アドマイヤコジーン
15年 フジキセキ
16年 スウェプトオーヴァーボード
17年 スウェプトオーヴァーボード
18年 アドマイヤムーン
19年 Raven's Pass
20年 ディープインパクト
シヴァージ (父First Samurai 吉田隼人)
ダートを走っていた時は先行押し切りスタイルだったが、芝へと転向してからは末脚を特化する競馬にこだわって好成績。連続で上がり最速を記録していたが、近2走の1,400m戦ではこれがメンバー中4、8位と低下したように、最も鋭く脚を使えるのはこの1,200m戦だろう。ただ、末脚特化型故に直線の長いコースでこそその良さが出るタイプで今回の中山の短い直線でどこまで差を詰められるか。
ミッキーブリランテ (父ディープブリランテ 和田竜二)
馬の間の狭いスペースに入ってしまっても、そこを割って脚を使える強靭な精神力の持ち主。コーナー部分で内をロスなく立ち回れる器用さも備えているだけに、この内枠を引き当てたのは好材料か。内目を上手く突くことが出来れば、重賞やGⅠでもある程度は上位争いが可能な実力はある。いかに道中のロスを最小限に抑えられるか。
ラヴィングアンサー (父ダイワメジャー 岩田望来)
オープンに昇級後も安定して速い上がりを繰り出しているので全くもって力が足りていないという訳ではない。とはいえ、今回は近走と比較すると急激にメンバーレベルが上昇。その分だけレース前半のペースが上がり、この馬向きのラップ構成となる可能性はあるが、それでも入着レベルだろう。
ピクシーナイト (父モーリス 福永祐一)
NHKマイルカップでは33秒台のハイラップで逃げたように、前々から高いスピード性能を披露。1,200m戦に矛先を向けたことで近2走では中団待機から末脚に懸ける形で安定して走れている点に高評価。デビューからの2戦は差しに構えて結果を残していた一方で、マイル重賞で上位に来た時には逃げの手を打っていたのが特徴でどんな形になっても力を出し切れる万能性を示したのは好感でここでも勝ち負けが期待できる3歳馬だ。
ファストフォース (父ロードカナロア 鮫島克駿)
今年の小倉芝コースは異常なまでの高速馬場で3勝クラスを勝ちあぐねていたこの馬がいきなり日本レコードをマークしたように、適性や道中でのポジションが重要な状況となっていた。安定して先行可能な速力があり、ダートでも走れていたような持続性能も備えていたこの馬にとっては、この小倉の馬場状態がバッチリ噛み合ったということ。直線で上り坂が構えている中山コースで同様のパフォーマンスが見せられるとは言い難いところ。
メイケイエール (父ミッキーアイル 池添謙一)
道中で他馬を蹴散らしながら前へ上がっていくような、制御不能になってしまう程の強烈な前進気勢が特徴。マイル戦では全く抑えが利かないために前走では距離を短縮したが、古馬短距離戦のペースでも脚を溜めて進めることができず。今回もまず道中で上がっていくような競馬をしてしまうのが予想されるため、これでは大きな上積みは見込めないか。
タイセイビジョン (父タートルボウル 三浦皇成)
近2走はレース前半の追走面に苦しみながらも、メンバー中2位の上がりを繰り出しての差し込み。2走前は異常なまでの高速馬場、前走は開幕週の先行有利なシチュエーションとそれぞれに不利な要素があり、開催の最終週となる今回は近走よりもこの馬向きの状況と言える。あとは、少々乗り難しいタイプだけに、テン乗りの三浦騎手がどれだけ御せるか。
ビアンフェ (父キズナ 藤岡佑介)
550キロを超える大型馬だが、スタート直後から強気に先行しての逃げ切りがスタイル。とにかく自分の形に持ち込めるかどうかがカギで、単騎逃げの手を打てさえすれば簡単には失速しないが、今回はモズスーパーフレアという強力な同型が存在。昨年のスプリンターズSでもハナを叩かれてしまい、力を出し切れずのシンガリ負け。枠の並びなど、同馬との兼ね合いがポイントか。
クリノガウディー (父スクリーンヒーロー 岩田康誠)
好走している近走でも、一気に内へ切れ込んでしまうような仕草を見せている癖のあるタイプ。昨年の高松宮記念でも、直線部分で内に切れ込んだため後続の進路を妨害しての降着処分。右回りでは極端にササるシーンこそ見せていないものの、一方で左回りの時のような鋭い末脚を行使出来ていないのが現状。中山への舞台替わりでどこまで。
エイティーンガール (父ヨハネスブルグ 横山和生)
昨年のキーンランドCを制した後は、前走まで丸一年馬券に絡めずという戦績だったが高松宮記念では上がり最速を記録するなど決して大きくパフォーマンスを落としている訳ではなかった。タフな競馬となった際に真価を発揮するタイプで良馬場での時計勝負や開幕週の綺麗な馬場のレースが多かった分だけ、着順が上がってこなかったという事だろう。今回は開催の最終週。ここに降雨の影響などで更なる馬場悪化が加われば、前進のチャンス。
ジャンダルム (父Kitten’s Joy 浜中俊)
3歳時にはクラシックへと駒を進め、マイルや中距離戦で活躍したが、そもそも母が名スプリンターのビリーヴとあって本質的に短距離適性の高さは相当。実際にそれを証明する好内容だったのが、初の1,200m戦だった春雷ステークス。当時は今回と同じ中山1,200mで先行争いが激化し、前半3ハロンが33秒2というハイペース。これを難なく追走した上で楽々と抜け出し、後続に2馬身半差をつけての大楽勝。以降2戦はゲートでのロスが響いた分の敗戦で、前走に至っては上がり32秒6という豪脚を披露しての差し込み。中間の対策の効果でゲートを五分に出れば、GⅠでも十分に好勝負が見込める実力馬だ。
レシステンシア (父ダイワメジャー C.ルメール)
桜花賞の頃はとにかくハナに立ってマイペースで先行することが全力を出し切る条件というタイプ。ただ、4歳になってからは末脚性能にも磨きがかかってきて、走りの質が向上。今春の阪急杯ではスローペースとはいえ上がり3ハロンを33秒台でまとめ、高松宮記念では中団から差し込む形での②着好走。前走のセントウルSでも2番手からの抜け出しと、逃げにこだわる必要のあった若駒時代と比べ、着実に力をつけている印象。自在性を備えた今ならば位置取りは不問でルメール騎手の得意な騎乗スタイルが活かせる馬となっただけに、GⅠでも好勝負だろう。
アウィルアウェイ (父ジャスタウェイ 戸崎圭太)
道中のポジションはどうしても後方になりがちだが、レース後半にはしぶとい末脚を繰り出すのが特徴。上がりのかかる前傾消耗戦がこの馬の得意展開。レース前半が下り坂で、直線が上り坂という当コースのレイアウトはいかにもこの馬にピッタリ。今年も激走の可能性を秘める存在。
ダノンスマッシュ (父ロードカナロア 川田将雅)
父ロードカナロアのように、レースへ出走する毎に力をつけていき、世界レベルのレースでも首位争いが可能なレベルに成長。今春の海外遠征でこそ結果は出なかったものの、昨年12月の香港スプリントでは完勝。香港競馬のスプリント界は世界でもトップクラスのレベルを誇るだけに、この勝利の価値は非常に高い。国内でも多数の重賞勝利を挙げているが、特に得意なのがこの中山1,200m。レース後半の末脚勝負があまり得意なタイプではないため、前半からペースが上がりやすく、後半は体力が必要な展開になりがちな当コースのレイアウトはいかにもこの馬向き。ここも安定して首位争いが見込める存在。
ロードアクア (父ロードカナロア 田中健騎手)
先行策を打っての粘り込みがスタイルで、中団以降に控える形では力を出し切れていないのが現状の成績。GⅠの今回は当然、非常に強力な先行馬が複数揃っているメンバー構成。この馬が理想通りの競馬に持ち込むには少々難しいレースとなるだけに、苦戦を強いられそう。
モズスーパーフレア (父Speightstown 松若風馬)
時には前半3ハロンを32秒台前半という超が付くほどのハイペースで先行出来る、極めてテンのスピードが速い逃げ馬。先手を奪おうという意思がある以上はハナに立てるだろうが、問題はそのペースでゴールまでしっかりと粘り込めるかどうか。実際、昨年のスプリンターズSではビアンフェと共に先行した結果、直線では余力がなくなっての⑩着敗戦。今年も同様のライバルが出走してくるだけに、他馬がハナを譲って単騎逃げの形に持ち込めるようなことがあれば、勝ち負けに持ち込んでも不思議はない。
高松宮記念を香港からの休み明けで制したようにフレッシュな状態で臨むのがベストなダノンスマッシュが本命。昨年後塵を排したグランアレグリアがいない今回は負けられない一戦。
対抗は斤量面で有利な3歳馬ピクシーナイト。ここ2戦スプリント戦出走で連続②着と適性も証明できている。福永騎手が上手く馬群を捌ければ戴冠もあり得る。
3番手はそのピクシーナイトに前走セントウルSで競り勝ったレシステンシア。こちらもスプリント能力は大したもので初の中山もこなせそう。
以下展開のカギを握りそうな快速馬モズスーパーフレア。他の馬との兼ね合い次第では逃げ粘りもありそうだ。右回りが若干不安材料であるものの、力をつけてきた印象のあるクリノガウディー、前走北九州記念では追い込みの脚に光るものがあったファストフォースまで。
人気になりそうなジャンダルムの追い込みも怖いが出遅れグセのある馬はちょっとね…。あとはメイケイエールが奇跡的に折り合っちゃったりなんかしたら…さすがにないかな?
◎ダノンスマッシュ
○ピクシーナイト
▲レシステンシア
△モズスーパーフレア
△クリノガウディー
△ファストフォース
