秋だね。
秋になると急におセンチになる人が急増する。
分かる。なにかにつけて物悲しいこの季節が私は好きだ。でもおセンチついでに「空も泣いてる」みたいなことをトゥイートする女は大嫌いだ。
私は切なさと浪漫が大好物だ。
創作材料は主にその2つと言っていい。
秋といえば、切ない。
ということで、日々切ないものやロマン溢れるものを探しながら生きてる私のおすすめの切ないものをご紹介したいと思う。
まず、おばあちゃんのスマホ。
これは切ない。見てると心がハーンとなる。
チラッと見えた時画面上に特大の文字が4文字くらいしか表示されてないとなお良い。レベル5。
捨て猫、蚊取り線香、季節外れの風鈴、夕暮れ時の子供の声、など切ないものコレクションはたくさんあるけど、この間出会ったとびきりの切ないは間違いなく「美人のワキガ」だ。
これはもうウッカリ涙が出そうになった。
ワキガってあれやろ?自分で分からんのやろ?
心の中で鼻をつままれ、ずっと口呼吸されているとも知らずに、美人。笑顔も素敵。
ワキガ美人に出会ってしまった時、個室で一対一でやり取りする場面だったのだが、入ってきた瞬間に特有の香り。
え?この人が…?と疑った。
可愛くて若いお姉さんだった。信じたくなかった。汚いおっさんならまだしも、この人がなぜ臭くないといけないのか。
神よ、こんな仕打ちはあんまりです。と人のために神を恨んだ。
でも彼女が脇を開くたびに心の中で
エマージェンシー!エマージェンシー!と叫んだ。
彼女が帰ったあと
個室だったのとワキガ具合が割と重症だったのが影響して、しばらく消臭に時間を割くことになった。その処理をするスタッフの背中もまた切なかった。こんなことをするためにここにいるわけじゃないのに。私も、彼も。
ワキガは及ぼす影響とは裏腹に割と治る病気だと聞いている。手術も日帰りだし。
彼女が悪いんじゃない。誰も彼女に ワキガだよ と教えてくれないのが問題なのだ。
こんなに酷くなるまで誰からも教えてもらえず、周囲から口呼吸をされ続けている彼女。かわいそうすぎる。
もう、言いたかった。
初めて会ったあの人に「失礼ですが結構ワキガですよ」と手術を勧めたかった。嫌われたっていい。あの人のために伝えたかった。
これからも文字通り鼻摘まみ者にされる彼女を想像すると、あまりにも切なかったから。
でも言えなかった。そらそうやけど。
彼女はたぶん今日も自分で臭いことに気付かず可愛い笑顔を振りまいて残念やと思われてるんだろうな。
もう、もはやアレ。サトラレ。
自分で気付いてないけど心の中がダダ漏れのあれ。あれと一緒。自分で気付いてないけど脇の中がダダ漏れ。
自分は悪くないのに知らぬ間に嫌われて避けられて、本当に心の底からかわいそうだと思った。
その日は1日中ものすごく切なくて胸が苦しいくらいだったのを覚えている。そして、身近な人に「頼むからワキガっぽかったらその瞬間教えてくれ」と頼んで回ろうと決意した日だった。


