20時過ぎて、懐中電灯を片手に犬の散歩に出かけた。


田舎の田んぼ道、凄い数の虫が、懐中電灯の光に群がる。


煩わしい虫を手で払うのにも少し疲れ、意外に外が明るかったので、灯りを消して散歩をしていた。


あっ!と思うと同時に、暗がりの側溝に左足をとられ、その勢いで、背中から田んぼに落ちてしまった。


10秒位田んぼの水に浸かっていただろうか?

犬のピノコが心配そうに、こっちを見ているのが暗がりから分かった。


幸い、左手に持っていたスマホは、田んぼ道に投げ出されて無事だった。


リードを放さずにいたので、ピノコの逃走は防げた。


何だか、とても、自分が可笑しくなって、笑いがこみ上げてきた。


泥だらけで、田んぼから起き上がり、しっかりと灯りを点けて家路に向かう。


可笑しさと恥ずかしさと、高揚した気持ちで次女に電話した。


田んぼに落ちた話を面白可笑しく話しつつ、本心は心配して欲しい自分の気持ちが透けて見えそうだ。


独り暮らしだと、誰も心配してくれないけど、馬鹿な事をしたなぁと叱責する人もいない。


それは、寂しいけど、少し気楽だ。


左足の太ももを打撲と、膝の擦り傷。


何してんだろう、私。